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» 2021年05月18日 10時00分 公開

当事者型? 立会人型? いまさら聞けない電子署名の基本ハンコ出社はもう不要

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 一般的な中小企業のオフィスにパソコンが導入されるようになったのは約40年前。当初は全員に1台ずつではなく島に1台、その用途はもっぱらワープロで手書き文書を清書する程度だった。そしてインターネットが普及し、ビジネスに欠かせないツールとして利用されるようになってからでも30年に満たない。

 日本初の株式会社が1860年代に設立されたことを考えると、パソコンやインターネットといった電子的な仕組みが整ってからの期間は、日本の商慣習の歴史に比べて非常に短い。言い換えれば、大部分の商慣習は昭和や平成どころか、明治・大正時代のテクノロジーで実現できる仕組みをベースに作られているということだ。

 その最たるものがペーパー文化、そしてハンコ文化である。ビジネスにおいては取引を行う双方が利益を求める。そのため、取引の内容が曖昧だと互いに有利な主張をしてトラブルになりかねない。契約には厳密性が求められると同時に「この内容に双方が同意した」という確かな証拠が必要となる。

 そのために使用されるのが原本となる紙の書類、そして押印だ。原本は複製に比べて改ざんが難しく、さらに本人しか所有していない印鑑を押印することで、その人本人が同意をしたという証拠として扱うことができる。

 この「押印」という仕組みは便利で、署名に比べるとわずかな時間で大量に処理することができるため、会社間の契約以外にも使用されている。例えば、社内のワークフロー(承認手順など)で稟議書に上司、部長、経理担当が順に押印していくことなどは一般的だろう。社内手続きなので実際には押印のような厳密性は不要ではあるものの、会社・人によっては「ハンコは引き出しに入っているので勝手に押してくれ」と本人性までも放棄して形骸化していることもある。

 だが、昨今のコロナ禍によるテレワークの急速な普及により、ペーパー文化、ハンコ文化の問題――つまり、「出社することを前提とした旧来からの仕組み」の抱える問題が顕在化し、それを解決するペーパーレス化が大きな注目を浴びることとなった。

ペーパーレス化のメリット

 業務のペーパーレス化には企業にとってさまざまなメリットがある。その1つが出社せずに業務が行える点だ。昨今のコロナ禍で最も注目されているのはこの部分だろう。テレワークでオフィスから離れたところで働く場合、物理的な制約がある業務は行うことができない。例えば、次のようなことが挙げられる。

  • 紙の文書を探す・調べる
  • 紙の文書を作る(印刷する)
  • 押印する
  • 郵送する
  • キャビネットに紙の文書を保管する

 一方、文書が全て電子化されれば、これらはファイルサーバ等にアクセスすることで手元のパソコンで確認、処理できるようになる。

 また、ペーパーレス化は、働く場所の制約がなくなること以外でもメリットは多い。1つが作業効率の向上だ。例えば、大きなファイルに閉じられた文書の山から目的のものを探し出すのはそれなりに労力がかかる。キャビネットに保管されている場合などはなおさらだろう。しかし、電子ファイルであればフォルダやファイル名から検索することもたやすい。全文検索システムを導入していれば内容から検索することも可能だ。閲覧や作成、押印処理なども全てパソコンの画面上で完結するので、いちいち席を立って探し物をしたり、社判を金庫から取り出して押印したりする必要もなくなる。

 2つ目はコスト削減。印刷が不要になることで紙代や印刷代が不要になるだけでなく、保管場所も不要になる。テレワークに合わせてフリーアドレスを導入すれば一社員あたりの占有スペースも減るので、オフィスをコンパクトにすることができる。また、電子契約では印紙税がかからない点もメリットだ。この他、紙を使わない=資源の無駄遣いを減らすことは、環境への配慮という側面もある。

業務のペーパーレス化が進まない理由

 その一方で、これだけのメリットがあるにもかかわらず、これまでペーパーレス化がなかなか進まなかったのもまた事実だ。その理由としてまず挙げられるのは「仕組みを変えるための労力が大きい」という点。

 今まではペーパー文化、ハンコ文化が大きな問題になることはあまりなかった。「もっと便利な方法があるのに」と思っている人はいただろうが、社員全員が1カ所に集まって仕事をするという旧来からのワークスタイルであれば、紙やハンコを使う業務スタイルでも困ることは少なく、仕組みを変える労力の方が大きかった。

 だが、ペーパーレスを後押しするさまざまな技術が一般化し、テレワークが半ば強制的に推進された今となっては、仕組みを変える労力よりも出社を強要し続けるデメリットの方が大きくなっている。

 ペーパーレス化を妨げる要因としては、情報喪失のリスクもある。電子的な記録は障害などによって喪失してしまう危険性があるからだ。かつては「このパソコンが壊れたらどうなるの」という不安を持つ人も少なくなかっただろう。

 こちらに関しても、重要な情報はファイルサーバに保存した上でバックアップをとり、さらには高速な通信と膨大な容量を持つクラウドストレージにも保存するなど、情報の喪失を防ぐさまざまな方法が用意されている。今や電子記録は、火災や地震などで失われる恐れがある紙媒体よりも高い耐障害性を持つといえるだろう。

 なお、社内の仕組みだけであれば一企業の取り組みによってペーパーレスを推進することもできるが、取引先との契約や国税関連の書類など、法的に紙での保存が求められている文書を扱う業務では、これまでペーパーレス化することは難しかった。しかし、実はインターネットが普及するきっかけとなったWindows 98の発売年、つまり1998年からペーパーレス化を促進する法改正は着々と進んでいる。

ペーパーレス化を促進する法改正とその背景

 ペーパーレス化を促進するための法改正として最初に挙げられるものが「電子帳簿保存法」だ。これはもともと、紙での保存が義務付けられていた国税関係帳簿書類を電子データで保存することを認めるもので、1998年に制定されている。

 2004年にはe-文書法が制定された。電子帳簿保存法の対象が国税関係のみだったのに対し、e-文書法は商法や税法で保管が義務付けられている文書の電子データ保存を認めるもの。成立こそ電子帳簿保存法よりも後だが、e-文書法では元から電子データで作成されたファイルだけでなく、紙をスキャンした画像ファイルも(要件を満たせば)正規の文書として認めるという、より実用的な制度が盛り込まれている。

 これを受けて2005年に電子帳簿保存法も「スキャナ保存制度」の追加改正が行われた。スキャナ保存制度は、金額基準の撤廃(当初は3万円未満)、電子署名不要、スマートフォンやデジタルカメラによる記録と、要件が次第に緩和された。

 ペーパーレス化促進につながる電子帳簿保存法の改正は近年もさらに進んでいる。2020年10月には受取手のタイムスタンプ付与が不要になり、データ改変のできないシステム利用時のタイムスタンプを省略する(クレジットカード利用明細など)ことが認められた。

 一方、契約を電子化するにあたって重要な法律が2001年に施行された電子署名法だ。紙の契約では同一の契約書を複製し、その両方に署名や押印を行うことで、契約書に変更が加えられないことを保証する。押印できるのは印章を持っている本人だけであるため、本人が同意したと推定されるし、痕跡を残さずに改ざんしたり、印影を偽造したりすることは困難なため、契約に同意した時点から改変はされていないと考えられる。

 それに比べて、内容の変更が容易な電子データでは、相手先にある契約書と手元にある契約書に相違があった場合にどちらが正しいのかを判断することは難しい。印影も複写は容易だし、ファイルのタイムスタンプも偽装することは簡単だ。そこで「同意した人が誰か」と、「同意した時点から内容が変更されていない」ことの2点を確認できるようにすれば、今までの紙の契約書と同じように扱えますよ、としたのが電子署名法である。

 これは「電磁的記録(電子文書等)は、本人による一定の電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する」というもので、電子署名とは「1、当該措置を行った者が本人であること。2、電子ファイルが改変されていないことが確認できる電子ファイルに対する措置」と位置付けられている。

2つの電子署名方式 「立会人型」が普及をけん引

 電子署名法では具体的な方式にまでは言及していないが、現在、主に使用されている電子署名には2つの方式がある。

 1つは「当事者型電子署名」と呼ばれるもので、所定の認証局から認証を受けて発行される電子証明書を使用する。TLS通信で使用されるサーバ証明書などと同じようなもので、認証局によって本人であることを確認することができる。身近なところではマイナンバーカードに格納されている公的個人認証サービス「署名用電子証明書」がこれにあたる。e-Taxで確定申告を申請する際に使用している人も多いのではないだろうか。

法務省が公開している「商業登記電子証明書の取得方法について」パンフレット

 本人性の担保を認証局によって行うという当事者型電子署名の方式は分かりやすい。印鑑証明の仕組みをそのまま電子化したようなものだからだ。だが、電子証明書の発行手続きや維持費用など、これから始めるには手間がかかるであろうことも想像に難くない。この面倒さが法的整備に比べて普及にブレーキをかけていたという面もあるだろう。

 そこで、現在は「立会人型電子署名」と呼ばれるもう一つの電子署名方式がものすごい勢いで普及しつつある。立会人型電子署名は当事者型電子署名よりも圧倒的に始めやすく、利用しやすい。費用も安価であり、行政の申請にも認められているため、実務上の不便もない。

 立会人型電子署名では、当事者に代わり、第三者である電子契約サービス事業者が署名を行うという仕組みだ。電子署名自体はサービス事業者のものだが、その詳細として「誰に依頼されて署名したのか」という情報が含まれている。サービス事業者への依頼時にはメール認証やパスワードなどの多要素認証、その際のログなどで本人からの依頼手続きであることを確認するようになっている。契約当事者が電子証明書を取得する必要がないため、簡便に導入・運用できるというメリットがある。

 特に「みんなの電子署名」は、後発ながら立会人型電子署名のメリットを突き詰めた電子署名サービスだ。初年度は完全無料、メールアドレスさえあればわずか数分で利用が開始できるというサービスは他に類を見ない。フリーランスや個人事業主、また、彼らとの契約を電子化したい企業から大きな注目を集めている。

立会人型電子署名が付与された契約書の署名。署名者はVector Inc.で、その理由として「●●からの依頼」と記載されている

本当に必要なのはハンコなのか?

 電子署名法の成立は、業務の効率化を妨げる古い慣習となっていた「押印」から脱却し、本質的なところに目を向ける機会ともなった。本当に必要なのは「ハンコ」ではなく、「本人の同意」をどう確認・証明するか、ということだ。

 ペーパーレス化を進めるにあたっては、今までの業務が本当にハンコを必要とするのか、既存の仕組みで代替できないか、本人であることを確認するためにはどうすればよいのか、といった点を改めて考えることが重要になる。極論すれば、法的に定められていない社内業務で本人確認のためにハンコを必要とするケースはほぼないはずだ。例えば、メールで送って「承認します」という返事だけでも、要件を満たすケースもあるだろう。

 一方、法的な制約のある契約業務においても、今や電子化への道筋が整っている。法整備やテレワークの常態化が後押しとなって、ハンコに代わる電子署名はビジネスの“当たり前”として今後ますます普及するだろう。

 特に、導入しやすい「立会人型電子署名」サービスも出てきた今では、最後の障壁であるコストの問題も取り除かれたといっていい。新しい働き方への対応やさらなる業務効率の向上を目指して、テレワークやペーパーレス化の妨げになっている「ハンコ文化」を改める時期に来ている。

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