コロナ禍をきっかけにテレワークが普及するなか、場所に縛られない“新しい働き方”を妨げる古い慣習の1つとなっているのがハンコ文化だ。緊急事態宣言下でもハンコを押すためだけに出社するビジネスパーソンの姿が報道され、いわゆる“ハンコ出社”が話題になったのは記憶に新しい。
テレワーク下における「脱ハンコ」「ペーパーレス」「契約業務のデジタル化」を実現するためにはどうすればいいのか。その重要なピースの1つが電子署名サービスの活用だろう。ITmedia ビジネスオンライン編集部が実施した「電子署名サービスに関する読者調査」(※)でも、電子署名のメリットとして「テレワークへの対応」を挙げる人が7割超に上っている。ただしその一方で、実際に会社で電子署名サービスを利用している人は42%と、半数を下回っており、電子署名サービスの導入・運用にはハードルがあることも浮き彫りになった。詳しく見ていこう。
まず、本調査の「ハンコ文化のような慣習は改めるべきか」という問いに対しては、93%が改めるべきと回答。日本では契約にハンコを用いることが当たり前の商習慣だったが、コロナ禍を機にテレワークが普及したことで、ペーパーレス化を阻むハンコ文化への見直しが進んでいることが分かる。行政手続きのオンライン化など政府主導による“脱ハンコ”の機運が高まっているのも一因だろう。
その一方で、電子署名サービスの利用の有無については、58%が「利用していない」と回答。実際に電子署名を利用している企業は半数を下回った。ITmedia ビジネスオンラインの読者を、「生産性の向上や業務効率の改善に関心がある層」と捉えるならば、「利用している」に比較的高い数字が出ていると推測することもできるが、それでも半数以上は「ハンコをやめるべき」と考えながら、いまだ紙業務に縛られている現状が浮き彫りになった。
それでは電子署名のメリットはどこにあると考えているのだろうか。回答結果は「業務の効率化」(85%)が最も高く、次いで「テレワークへの対応」(71%)、「コスト(郵送費用印紙代等)の削減」(64%)が続く。
ただ、すでに電子署名を利用している企業と、していない企業とでは、結果にやや違いがある。具体的には、電子署名を利用していない企業は、「コスト(郵送費用印紙代等)の削減」(67%)や「書類保管スペースの縮小」(58%)で全体よりもやや高い数字となった。ウィズコロナ環境下でオフィスの縮小や移転を検討する企業も少なくないが、これに伴う書類の保管スペースという点でも、電子署名に対する期待が見て取れる。とはいえ、電子署名を利用している企業もいまだ利用していない企業も、電子署名のメリットについてはほぼ同じ認識を持つようだ。
ペーパーレス化が進む昨今、電子署名のメリットは広く認識されているが、その一方で導入には壁もある。「電子署名を利用しづらい要因はどこにあるか」という質問に対して最も多かった回答が「導入費用やランニングコスト」(46%)と「取引先の理解が得られない」(46%)で同率首位。次いで、「業務システムと連携できない」(39%)、「社内の理解を得られない」(30%)が続いている。
ただ、これについても、すでに電子署名を導入している企業と、していない企業では結果に違いがある。例えば、「導入費用やランニングコスト」については、電子署名を導入している企業が32%、していない企業が56%と大きく差がついた。また、「業務システムと連携できない」は導入済み企業が31%、非導入企業が45%、「社内の理解を得られない」も、導入済み企業の22%に対して非導入企業では36%という結果になっている。
電子契約に関するサービスの多くは、月1万円前後の固定費がかかるものが一般的で、頻繁に契約業務が発生する企業規模ならばコストが問題にはなりづらいものの、全ての企業が利用するには(電子署名のメリットを含めたとしても)費用対効果から導入が進んでいない、というのが現状のようだ。一方、業務システムの連携や社内の理解といったハードルについては、導入済み企業は(当然ながら)それらを乗り越えつつあることが数字から見て取れる。
なお、電子署名を利用している企業としていない企業の双方でともに高い数字が出ているのが「取引先の理解を得られない」で、取引先の企業規模によっては電子署名サービスの導入コストがハードルになっている可能性もある。フリー回答では「社内外との調整コスト」「会社によって使う電子署名が異なる」など、外的要因を挙げるコメントも多い。
今回の調査では、約4割の人が「テレワーク中にハンコ出社を経験した」と回答している。ニューノーマルが叫ばれるいま、しっかりと従業員の健康を守りながら、どこでも仕事ができる環境を整えるために、テレワークの障壁となるハンコ文化を改め、その代替となる電子署名サービスの活用が求められている。
課題として浮かび上がった「コスト」の問題は、「立会人型電子署名サービス」の登場(関連記事:当事者型? 立会人型? いまさら聞けない電子署名の基本)によって、一昔前に比べると緩和しつつある。特にベクターが提供する「みんなの電子署名」は、初期費用無料、月額固定費無料、送信等に関わる費用も無料、料金がかかるのは1年以上経過した文書の保管料金のみとなる。そのため、初年度は完全無料、かつその後のランニングコストも抑えることができ、企業規模にかかわらず個人事業主も利用できる画期的な電子署名サービスとなっている。
また、この導入のしやすさは、「相手を選ばない」という外的要因によるハードルを乗り越えることにもつながる。例えば、フリーランスのライターと執筆契約を結ぶ場合、編集部にとってはよくあるワークフローであっても、相手に高額な電子署名サービスの導入を要求することは難しい。そこで「みんなの電子署名」を活用すれば、相手は無料のアカウントを登録するだけで契約を結ぶことができる。
このように、自社ではすでに電子署名サービスを運用しているが、取引先によって対応できないといったケースでも、コスト負担の少ない「みんなの電子署名」を別の選択肢として利用できるわけだ。もちろん、立会人型電子署名の法的有効性については、国としても押印と同等の効力があることを認めている(弁護士による解説記事)。
読者調査で判明したように、多くのビジネスパーソンが「ハンコ文化を改めるべき」と考えつつも、なかなか普及が進まない電子署名サービスだが、初年度無料かつ低コストで利用できる「みんなの電子署名」が登場したことで、ペーパーレス化を阻む“最後の障壁”ともいえる契約業務のデジタル化は大きく前進しそうだ。日本の働き方を変える「みんなの電子署名」に是非注目したい。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2021年8月27日