レガシー技術の伝承から先端テクノロジーの共有まで NTT東日本が実現した「現場主導」の映像DXとは業務改善/組織改革を実現したプラットフォーム「Qumu」

メタルや光の回線事業から、デジタル技術を活用した地域課題の解決に領域を広げるために、AI・IoTなど新技術の導入を模索するNTT東日本では、社員教育やベテランから若手への技術の伝承に課題を抱えていた。そんな同社が導入したのが、ブイキューブが提供する動画プラットフォーム「Qumu」だ。Qumuによって現場主導の業務改善、そして組織改革を実現できたというNTT東日本の事例を基に、映像DXがもたらす効果について解説していく。

» 2022年09月02日 10時00分 公開
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 コミュニケーションや社員教育、技術の伝承などに有効とされ、企業での活用も進む「動画」。NTT東日本も、動画を活用して自社の社員教育や技術伝承を行っている企業の一つだ。

 本記事では、映像を活用しNTT東日本がどのように社員教育や技術の伝承を実現したのか、そして現場主導で生まれているという「思わぬ効果」についても掘り下げていく。

業容の変化に伴い教育制度の刷新が課題に

 高度情報通信社会の発展を支える通信インフラを守り、その進化を後押してきた企業の一つにNTT東日本がある。同社が扱う領域は社会変化に伴い、この数十年の間に固定電話から光ファイバー、そして今やAIやIoTといったものまで含まれるようになっている。このように幅広い領域を手掛ける同社にあって、先端技術を活用したDXを推進している部門がネットワーク事業推進本部だ。

NTT東日本の尾崎氏

 「私たちは世の中の新しい技術、サービスをいち早く発掘し、それを技術者として社内に展開する役割を担っています」と話すのは、同部の尾崎真理氏。先頭を切って走り続ける部門や事業の定めとして、常にいくつもの課題はつきまとう。中でも厄介なのが“進化のスピード”との戦いだ。

 「顧客ニーズの多様化が進み、AIやIoTなどの技術も日進月歩でスピーディーに進化を続けています。NTT東日本に所属する北海道から長野まで数万人もの現場の社員全員が、その全ての新技術や新機能を把握するのはなかなか難しいものがあります」(尾崎氏)

 もちろん、技術者の教育には手厚く注力してきた。従来同社が現場向けに実施していた教育について、同部の吉村健二郎課長は次のように振り返る。

 「従来、新たな技術の展開に際しては、全国29支店の社員を対象に、電話会議による研修を開催していました。60〜90分にわたって、マニュアルのページをめくりながら、新しい技術について伝えるようなイメージです。その後、トレーニング施設に招集し、電話会議で習ったことを実践してもらい、実地での研修もフォローしていました」

 AIやIoTといった先端技術を扱うサービスが少ないうちは、こうした教育方法で十分機能していた。しかし、業容の変化に伴い、サービスの種類が増加。1カ月で複数のサービスが増える現状を前に、教育方法の刷新を考えるようになっていった。

 「今では、1カ月に2〜3個の新しいモデルやサービスが登場する状況になっています。わずか数年の間に、大きく状況が変わってしまい、社内でも『電話会議での教育には限界があるのではないか』といった声が出るようになり、抜本的にやり方を変える必要が生じました」(吉村氏)

ベテランから若手への技術伝承も課題として浮上

 業容の変化だけでなく、技術伝承の課題も抱えていた。

 「若手社員の比率も増えてきましたが、当時はベテラン社員が中心となり、現場を回していました」と吉村氏は振り返る。

NTT東日本の吉村氏

 ベテラン社員たちは、“固定電話の全盛をつくり、支えてきた世代”。「社内では『時代の変化に伴い、光回線が拡大していくだろう』と考えられていたため、実は次世代を担う若手社員に固定電話の技術をあまり継承できていませんでした。ところが、予想に反し、固定電話サービスは今でも社会のインフラとして根強く機能しています。そのため、効率的にベテラン社員が有するノウハウを若手社員に伝承していく必要がある――こうした課題感が社内で共有されるようになっていきました」(吉村氏)

 ベテラン社員の有する技術を、急ピッチで若手社員に継承する必要が生じたものの、いわゆる“職人気質”でもあるベテランは、普段から後輩への教育を得意としてきたわけではなかった。そこで考えられたのが動画の活用だったのだという。

 「まずは動画でマニュアルを作成し、会社内のサーバに格納し、クリックすれば再生できるような仕組みをつくりました。ところが、動画のマニュアルが必要になるのは、社内で作業する社員だけではなく、電柱の上やマンホールの下など、さまざまな現場で活動する社員も含まれます。現場ではインターネットにアクセスできないことも多く、どんな状況下でも再生できる仕組みをあらためて用意する必要がありました」(吉村氏)

 そこで出会ったのが、ブイキューブが提供している、セキュリティに強く、スマホアプリ機能も有している動画作成/共有プラットフォームのQumuだった。もともとQumuは、海外プロダクトではあるが、日本国内ではブイキューブが代理販売を行っている。

 動画プラットフォームといえば外部に向けて動画を積極的に発信するために活用するイメージもあるが、Qumuはどちらかというと社内での共有に強みを持つサービスだ。直観的な動画作成・編集はもちろん、部門ごとの権限設定が可能。マルチデバイスにも対応しているため、外出先での視聴・作成も容易で、社内で安全に動画コンテンツを保管・共有できる。

現場主導で活用が進む 組織の体質改善にも効果で“うれしい誤算”

 NTT東日本では、Qumuの導入以降、現場主導での活用が進んでいる。視聴者ではなく一投稿者として、“自分視点の上手なやり方”を発信する社員が増えたのだという。

 「そもそも当社だけでなくNTTグループには、現場から“自分たちの仕事を変える”というカルチャーがあります。こうしたカルチャーが、Qumuによって具現化しました。こうしたよい循環が起こる中で、Qumuを起点に自分たちの業務改善や価値を上げる仕事を現場発信で生み出し、会社のパワーを底上げする仕組みになり得るのではないか、という議論が沸き上がるようにもなりました」(吉村氏)

 こうした“予感”は的中した。当初の課題であった技術伝承については、新入社員であってもQumuに投稿されている固定電話の技術をしっかり習得できるようになり、それ以外にも想定以上の広がりを見せている。

 「Qumuの運用を開始した当時には想定していなかった活用方法として面白いのが、私たちの業務のDX事例が共有できるプラットフォームになっている点です。

 例えば、現場ではまだまだ報告書などに紙の文化が残っていたのですが、ある社員が書類をOCRで読み取って自動化する方法を動画にして公開してくれました。このようにQumuは、現場で社員たちが考えた効率化やDXのTipsをシェアしあう場にもなっています。やがてそれが逆輸入的に現場から本社に伝わり、自動化を推進する主幹部門やAIを推進する主幹部門なども、このプラットフォームを使って自分たちの施策を仕掛けていきたいと考えるようになりました」(吉村氏)

Qumuをベースに構築した社内情報共有システム「TechREC」

 この“自分たちの技術をシェアしあう文化”が生まれたことこそが、NTT東日本にとって大きく、そしてうれしい誤算だったという。

 「これまでは本社主導で統制の取れた業務運営を基本としており、各現場での創意工夫は本社が吸い上げて整理した上で横展開してきましたが、動画活用により、優良施策が本社を経由せずにスピーディーかつダイレクトに展開できるようになりました。これにより、地域のお客さまが抱える課題に対する解決策をタイムリーに現場主導で提案できるようになってきており、複雑化する社会課題への対応力が増してきていると感じています」(吉村氏)

 2015年に入社し、“若手社員”の部類に入る尾崎氏も、その変化に驚き、喜ばしく受け止めている。

 「入社当初は、各支店、各事業部の事業計画がなかなか共有されないなど、縦割りの文化がありました。それが今では、『われわれのチームがこんなことやっている』というのを本社・支店・事業部・グループ会社がシェアするようになって、グループ全体でシナジーが生まれているように感じます」(尾崎氏)

地域活動にも貢献 今後は防災への活用も見込む

 Qumuが起爆剤となって生まれた“現場生まれのDXをシェアする文化”は、NTT東日本内にとどまらず、社外にも広がりを見せている。

 「私たちは地域や社会インフラを守る仕事をしている関係上、地場のガス会社や電力会社、自治体の道路課の方々とお話をする機会が非常に多くあります。お話を聞いてみると、多くの会社や自治体で、人員が確保できないまま仕事量が増えていくという共通の悩みを抱えていることが分かりました。

 その中で業務改善の話題から、私たちがQumuで取り組んでいる動画プラットフォームを軸にした取り組みをお話しすると、皆さんが非常に興味を持ってくださります」(吉村氏)

 同社では、今後どのような活用を見込んでいるのか。ブイキューブへの期待とともに聞いた。

 「まず短期的な観点でいえば、社内からいくつかの改善要望が出てきており、ブイキューブさんとともに、さらにブラッシュアップできればと思っています。長期的な観点では、現状は通常の動画ですが、今後は3D映像などを活用できると、より技術の伝承がしやすくなるかもしれません。こうした画期的なツールも、ブイキューブさんに期待しているところです」(尾崎氏)

 吉村氏は、NTT東日本が担っていくべき社会的使命の一つに「地域防災」があると話す。これまで自社の通信インフラを守るために蓄積してきたノウハウを地域に還元しながら貢献していきたいと示した。そこでもQumuの活用を見込んでいる。

 「これまでの災害対策では、ドローンなどを活用し被災時の写真は記録していたものの、残念ながら映像はなかなか記録できておらず、地域の放送局などが保管しているものしかありませんでした。本来であれば映像記録を分析することで以降の備えに生かすべきところ、ここがうまく機能していなかったのです。

 これからは災害動画をQumuに記録するようにし、共有することで地域防災に貢献できるのではないかと思っています」(吉村氏)

 もちろん、災害映像が収められた映像プラットフォームは、地域のインフラを担うガス会社や電力会社などにシェアされることで、災害に負けないライフラインづくりにも活用できるはずだ。

 業容の変化に伴い、社内教育の刷新という切り口からQumuの活用を始めたNTT東日本。今では社員教育にとどまらず、現場起点での業務改善やDXにつながり、社外への共有も進んでいる。吉村氏の話にあった地域防災への展開も含め、今後も同社のQumu活用は進んでいきそうだ。

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提供:株式会社ブイキューブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年9月22日