人々の関心や注目を集めることが利益となる「アテンションエコノミー」全盛の昨今、極端な意見だけが支持され、振り切っていない意見は中途半端とされて見向きもされない傾向がある。本件についてもドイツにGDPが抜かれるかもしれないという報道を受けて、やたらと日本をネガティブに捉える意見が散見された。
かたや、YouTube(ユーチューブ)や地上波の番組などに目をやると、日本に来た外国人に日本を褒めてもらって「日本、最高」と持ち上げるコンテンツも人気があるわけで、やはり過度に悲観したり、過度に持ち上げたりする極端なコンテンツに需要があるようだ。
日本には良い部分もあれば、悪い部分もあるわけで、GDP4位転落についても、この事象だけを取り上げて騒ぎ立てるのではなく、このままいけば、物価変動や円安など関係なく、どんどん日本のGDPランキングは下がっていくという下落トレンドが既に発生してしまっていること自体を嘆くべきであり、その原因を追究し、改善策を打ち出すという現実的な態度を取るべきであろう。
今年は日本経済にとっては非常に重要な1年だ。昨年以上の賃上げが実施され、悲願のデフレ脱却が達成できるかどうか。ニュースに一喜一憂するのではなく、腰を据えた骨太の政策によって日本経済が再浮上することを期待する。
経済アナリスト。1985年生まれ、運用会社や証券会社で日本の中小型株のアナリストや新興国市場のストラテジストを担当。金融教育ベンチャーのマネネを創業し、CEOを務める。アマチュアで格闘技の試合にも出場している。著書に父、森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など。
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