企業のマーケティング戦略構築から実行支援までを担うWACULが発表した調査から、マーケターの平均年収や希少性の高い経験、転職意向などが明らかになった。
本調査の回答者の平均年収は773万円だった。中でもフリーランスは平均970万円と、会社員の平均(678万円)に比べて292万円も高かった。
同社によると「会社員の年収はおおよそ年齢とともに上がっているが、フリーランスはそれに限らない。20〜30代で1000万円前後の年収に到達している人もいる」という。
マーケティングの経験年数と年収をかけ合わせてみたところ、「経験3年以上」で平均年収を超える傾向がみられた。
「サイト改善」「SNS」などの各施策のディレクション・運用経験を比較したところ、サイト改善は過半数が3年以上経験したと回答。一方で「マス広告」「SNS」については3年以上の経験者が20%前後と少なく、希少性の高さがうかがえた。
また、戦略立案やマネジメント経験について、「商品開発」「PL管理」の経験者は20%前後にとどまっているが、「マーケティングの戦略立案」は3年以上の経験者が57.1%と、過半数を占める結果に。
同社は結果を踏まえ「『マーケティングの一施策における方針を策定する』といった、比較的ハードルが低い経験も『マーケティングの戦略立案』に含まれている可能性が高い。マーケティング施策のディレクション・運用だけでなく、戦略立案やマネジメント経験を積んでいるとより速やかに年収が上がる」とコメントしている。
転職意向を働き方別・年齢別でグラフ化した。働き方別でみると、フリーランスへの転身意向は明らかに低く、66.7%が「全く検討していない」と回答。現在、会社員として働いていたり副業として携わっている人の多くは「いい転職先があれば検討したい」と回答している。
年齢別でみたところ、30代後半で転職意向に大きく変化があることが分かる。「1年以内に検討している」(15.6%)に加え、68.8%が「いい就職先があれば検討したい」としており、転職活動に前向きな姿勢を示している。
「転職を全く検討していない」と回答した人を対象に「もし仮に年収が大幅にUPするとしたら、転職を検討しますか?」という質問をしたところ、「年収がいくらアップしても検討しない」(44.1%)が最も回答を集めた。
年収50万円アップでは転職意向はほぼ揺るがず、年収100万円アップであっても、15.3%しか転職を検討しないようだ。そもそもマーケターの平均年収が高いこともあり、採用の壁は高いといえそうだ。
WACULは調査を踏まえ「採用企業側はまず『求める人材ほど転職意欲は低い』『仮に年収100万UPでオファーを出したとしても転職意欲はたいして上がらない』といった厳しい現実を理解する必要がある。その上で『比較的転職に意欲的な35〜40歳をターゲットにする』『マーケティング未経験者も受け入れて社内で育成する』など、人材要件を一部見直しながら粘り強く採用に取り組むしかないだろう。また、マーケターは独立すれば年収が跳ね上がりやすい職種であることを踏まえると、会社員だからこそ得られる経験・環境に魅力を感じてもらう工夫も求められる」と分析している。
調査は、現在マーケティングを主業務としている175人(会社経営者は除く)を対象に、メルマガやSNSを通じて実施した。期間は2024年6月10日〜7月23日。
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