革から布へ? 変化するランドセル市場 布製の新トレンドが話題に(1/2 ページ)

» 2024年10月20日 18時38分 公開
[産経新聞]
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 革製に比べて軽く、価格も手ごろ。化学繊維の「布製ランドセル」に参入する企業が相次いでいる。将来的な需要拡大を見越してだが、一方で布製シェアは「2%程度」(流通小売り大手)しかないという声も聞く。入学祝い品として高額でも革製を望む祖父母や親の思い、みんなと同じでないと不安という子の気持ちなど心理的な障壁が高いなか、自治体が布製を一括購入して贈る試みも広がっている。タブレット端末などもあって昔より子供の持ち物は重い。わが子をモニターに、新たな選択肢に取り組むママ開発者にも取材した。

photo 布製ランドセルを開発した「プラス」の加藤優美さん。長女(左)の反応や意見を聞いて商品化を進めた=東京都稲城市 (重松明子撮影)

文具、アウトドア、家具メーカーも参入

 「2年前の長女のラン活(ランドセル選び)を通じて最初に使う通学カバンとして、これ(革製)がベストなのか? って感じていた。公立小の場合は革製が必須というルールがあるわけでもない。軽いもので、好きな色を選ばせたい。母親目線でもっとこうだったら…というディテールを形にしていきました」

 この夏発売。文具メーカー「プラス」の布製ランドセル「パッかる」(750グラム・2万4200円)の開発担当者、加藤優美さん(40)が語った。

 入学時には結果的に革製を用意したが、新企画が通って布製の開発に着手。出来上がった試作品を背負わせた娘の「軽い」という笑顔に背中を押され、意見を取り入れながら改良を進めていった。「布製ランドセルを使っている児童がいない状況のなかで、クラスメートや先生にどう思われるか気になりましたがポジティブな反応。この子は『みんなと違うのがいい』タイプで合っていたみたい」

 布製は軽くて当たり前。最大の特徴はランドセル特有のカブセがなく、広げると平面になり、各辺のファスナーを閉じるとランドセルらしい形に立体化する設計だ。ロッカーや棚に置いたままでも、ファスナーを開けて物の出し入れができる利便性も実現した。娘は2年生の秋を迎えた今日まで使い続けている。

 ミントやラベンダーなど女子好みのカラーや定番の黒など6色展開。「色の選択肢も大切。小さいうちから色への関心やこだわりが強い子も多く、アパレルの流行色やファッション性は意識しています」と加藤さん。全国のイトーヨーカドー57店舗などで販売中だ。

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