法人会員向けに与信管理クラウドサービスを提供するリスクモンスター(東京都中央区)は「金持ち企業ランキング」を発表した。
上場企業の決算短信を基に、企業が保有している「現預金」から借入金などの「有利子負債」を差し引いた「ネットキャッシュ」を算出し、ランキング化したものだ。
金持ち企業ランキング上位20社のうち17社は、前回調査(2023年実施)から引き続きランクインしており、そのうち12社は前回からネットキャッシュが増加している。上位100社についても、74社においてネットキャッシュが増加しており、全体的に増加傾向にあることが分かった。
1位は2年連続で「信越化学工業」(ネットキャッシュ1兆6747億円)だった。以下、「任天堂」(同1兆4844億円)、「リクルートホールディングス」(同1兆1355億円)、「SUBARU」(同6485億円)、「ファーストリテイリング」(同6003億円)と続いた。
1兆円の大台を超える企業は、前回調査の2社(信越化学工業、任天堂)にリクルートホールディングスが加わり3社となった。
上位企業のネットキャッシュが増加している点について、リスクモンスターは「アフターコロナでの消費回復や、物価上昇に伴うコスト増の販売価格への転嫁、歴史的な円安の進行などを要因とする業績好転により、上場企業が多額のキャッシュを獲得したことで保有キャッシュ水準の向上につながったものと考えられる」とコメントしている。
ランキングのトップ20企業において、現預金、有利子負債、営業キャッシュフローをそれぞれ集計した。その結果、現預金と営業キャッシュフローでは、ランキング高順位企業の方が高い水準にある傾向がみられた。その他、有利子負債では、20社中8社が0円であり、1000億円超の有利子負債を抱えている企業は5社のみであることが明らかになった。
リスクモンスターは、現預金や営業キャッシュフローが潤沢であっても、金持ち企業ランキングのトップ20圏外となる理由として、有利子負債が多額であることを挙げた。
「金持ち企業ランキングトップ20圏外となった企業は、事業に多額の資金を投下することでそのリターンとしてのキャッシュを獲得し、現預金の積み上げにつなげている。その一方で、投下資金を借入調達しているため、ネットキャッシュが高水準にならないことが分かる。有利子負債が少ないことが、金持ち企業ランキング上位ランクインの重要な要素であることが表れている」と分析している。
今回の調査対象とした3097社のネットキャッシュ、現預金、有利子負債の増減についても集計した。全体として、ネットキャッシュでは57.9%(前回調査比+8.5ポイント)の企業で増加しており、現預金では62.1%(同+8.2ポイント)の企業において増加がみられた。
一方、有利子負債が増加した企業は38.0%にとどまり、前回調査(回答率57.8%)から19.8ポイント低下した。
2024年3月期決算における上場企業の純利益合計は、3期連続で過去最高益を更新しており、ネットキャッシュの増加傾向につながっている。特に、トップ100にランクインした企業では、ネットキャッシュと現預金が増加した企業がそれぞれ7割以上を占めており、前回よりも20ポイント近く上昇している。
リスクモンスターは調査を踏まえ、「企業経営は多額のキャッシュ保有のみで良否を計れるものではないが、ネットキャッシュの保有量が多い企業はネットキャッシュの水準が低い企業に比べて支払い不全となるリスクが低く、安全性の高い経営を実現しているといえる。十分な事業成長を実現しながら、高い安全性を有する企業を目指すことは、経営者が掲げるべき目標の一つではないか」とコメントしている。
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