日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
フジテレビのCM差し止めラッシュが止まらない。報道によると1月21日時点で、予定も含めるとその数は50社超になるという。
原因は、1月17日に開かれたフジテレビの港浩一社長らの会見だ。
タレント・中居正広さんの「女性とのトラブル」にフジテレビ社員がかかわっており、「有力者へ女子アナを献上する」ことが過去にも行われていたという週刊誌報道を受けて同社の考えや対応を伝える場だったが、完全に「逆効果」となってしまったのである。
問題はいろいろあるが、致命傷となったのは「テレビ業界の非常識さ」があらためて露呈したことだ。
港社長は中居さんと女性の「トラブル」を2023年6月時点で把握していたと明かしたが、その後も中居さんのレギュラー番組が継続され、しかも新しい冠特番なども普通に制作されていた。
フジテレビ側はまったく問題なしという意識だが、女性が警察に被害届を出すことまで考えたという深刻な「トラブル」を起こした中居さんをここまで重用するというのは、一般庶民にはまったく理解できない。むしろ、「ああ、この世界ではこういうモミ消しが日常茶飯事なのね」とドン引きした人も多いはずだ。
それは法令順守を厳しく求められる大企業にも同じことがいえる。「ヤバい取引先」と距離を取るのは、企業危機管理の鉄則だ。沈みゆく船から逃げ出すネズミのようにCMを引き上げたという流れだ。
このように人気タレントの不祥事への対応をミスったことで、窮地に追いやられているフジテレビと対照的に、タレントの不祥事への対応によって、世間の称賛を浴びて株を上げた企業もある。
アイリスオーヤマだ。
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