経団連が選択的夫婦別姓の実現を政府に提言するなど、ビジネスの場における姓の扱いは、数十年で大きく変化した。職場での旧姓の通称使用を認めている企業、認めていない企業それぞれのホンネとは? 帝国データバンクが調査した。
職場での旧姓の通称使用を「認めている」企業の割合は63.6%となった。「認めていないが使用について検討中」の6.9%を合わせると、容認もしくは検討している企業は70.5%を占めた。一方で、「認めていない」は9.2%だった。
容認もしくは検討している割合企業規模別に見ると、大企業は78.7%と全体平均を8.1ポイント上回った。中小企業は69.2%、小規模企業は64.0%と平均を下回り、規模の大きい企業ほど旧姓の通称使用が進んでいた。
旧姓の通称使用を認めている企業からは「取引先に覚えてもらっている旧姓をそのまま使用した方がスムーズ」(不動産)や「入社時にメールアドレスを与えるが、氏+特定番号のため、結婚で変更すると本人も会社も面倒。通称使用で名刺なども変える必要がない」(機械・器具卸売)などといった、旧姓使用による具体的なメリットを挙げる声があった。
一方で、認めていない企業からは「旧姓使用について通常時は何の問題もないが、給与の振込口座の名義が違うと面倒」(飲食料品・飼料製造)や「免許や資格証は旧姓かどうかの確認が必要となる他、申請書類などの誤記が懸念される」(建設)など、旧姓・現姓両方の管理に伴う事務負担や煩雑さが理由として挙がった。
従業員の旧姓使用を巡る「負担感はない」企業の割合は50.7%で、半数を超えた。「負担に感じる」は2.6%、「多少は負担に感じる」は11.0%と少数派で、「どちらとも言えない」は25.5%だった。
旧姓使用を職場で認めている企業、認めていない企業それぞれの負担感を比較すると、「認めている」企業では「負担感なし」の企業が65.6%と、全体平均を14.9ポイント上回った。一方で「認めていない」企業での「負担感あり」は32.5%と、全体平均を18.9ポイント上回った。
帝国データバンクは「旧姓使用を認めていない企業は、手続きの煩雑さや管理の複雑化などを懸念し、相応の負担感を想定しているが、実際に旧姓使用を認め運用している企業ではシステムなどの運用でカバーし、3社に2社の企業が負担を感じていない傾向にある」とコメントしている。
調査は3月7日〜12日、同社がインターネットで実施し、1386社から回答を得た。
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