Googleは、検索結果に現れる詐欺的なWebページや偽装サイトに対抗するため、AIを本格的に導入・強化している。同社はこの取り組みを「検索上の詐欺撲滅」と題したレポートで明らかにし、検索体験の安全性向上に向けた最新の技術と戦略を公開した。
Googleは「ウイルスに感染しました」などと偽るポップアップ広告や偽サイト(spoof sites)によって被害を受けるユーザーを守るため、AIおよび機械学習(ML)を活用した詐欺検出システムを段階的に導入してきた。
同社はレポートで、次のように説明している。
「当社の分類システムは、機械学習アルゴリズムを用いて、詐欺行為に特徴的なパターン、異常、言語的な兆候を識別しています。しかし、詐欺師たちの手口は常に変化・進化しており、それに対抗するには新たな脅威を的確に把握し、先手を打って対策を講じることが不可欠です」
同社は過去3年間にわたり、AIを活用した新たな詐欺対策システムのバージョンを複数展開しており、特に2024年のアップデートによって「詐欺的な検索結果」に対する防御力が飛躍的に強化されたと説明している。
「AIや大規模言語モデル(LLM)の進化により、当社の詐欺対策能力は格段に向上しました。これにより、膨大なテキストデータを解析し、微妙な言語パターンや、詐欺が組織的に行われている可能性を示すテーマ的な関連性を特定できるようになっています」
Googleはレポートで、ユーザー自身が検索詐欺に巻き込まれないための対策についてもアドバイスを提供している。特に注意すべきポイントとして、以下が挙げられている。
詐欺サイトは、一見正規に見えるが微妙に異なるドメイン名を用いてユーザーをだます手法を多用している。
例:@thisisgoodlink.com が正規のドメインだとして、詐欺者は @thisisagoodlink.support のような見た目の近い偽ドメインを使ってユーザーを誘導する。
Googleは、リンクをクリックする前に「ページの背景情報」を調べることを推奨しており、検索結果の横に表示される「この結果について」機能の活用を勧めている。
「オンラインストアや情報源についての詳細を確認するには、検索結果横の3点リーダー(三つの点)アイコンをクリックして、“この結果について”を確認するとよい」とレポートは述べている。
Googleのレポートでは、検索詐欺を回避するための注意点として、以下のようなアドバイスが示されている。
ユーザーに対し、「公式の情報源を確認し、不自然な書式やレイアウトには注意すること」を呼びかけている。特に注意すべきポイントは下記だ。
「Googleの検索システムは、高品質で信頼性の高い情報を表示するように設計されています。顧客サービスの電話番号のような情報には、実質的に“公式な情報源”が1つしかないのです」
「全ての企業がカスタマーサービスの電話番号を持っているとは限りません。そのため、企業の公式Webサイトに番号が見つからない場合は、他のサイトやサービスで番号を探そうとする前に慎重になるべきです」
これは、偽サイトが“偽の問い合わせ先”を掲載してユーザーを詐欺に誘導するケースが多発していることを踏まえた警告である。
さらにレポートでは、以下のような視覚的な違和感にも注意するよう求めている。
「こうした異常な書式や見た目は、偽装サイトである可能性が高い」と指摘している。

Copyright © Thomson Reuters
Special
PR注目記事ランキング