Googleは、OpenAIをはじめとする急成長する競合に対抗するため、多数の新たなAI機能を導入し、自社の優位性を維持しようとしている。
米Alphabet社(Googleの親会社)は、毎年開催している開発者向けカンファレンス「Google I/O」において、インターネット検索における市場シェアの減少を食い止めるための新機能を発表した。Googleの年間売上高(直近では3500億ドル)の中では、検索結果とともに表示されるオンライン広告が最大の収益源となっている。
Googleはすでに、AIによって生成された検索結果の要約を一定期間にわたり提供している。また、より複雑な検索クエリに対応できる、AIのみで動作する新しい検索エンジンの試験運用も開始している。同社はこうした技術の開発に過去数年間、毎年数百億ドル規模の投資を行ってきた。さらに2025年にはこの投資額を50%増やし、年間750億ドルに引き上げる予定だ。
それでもなお、Googleは激しい競争に直面している。AI台頭以前には約90%とされていたGoogleの世界検索市場シェアは、現在では65〜70%にまで低下していると専門家は分析している。
米銀ウェルズ・ファーゴのアナリストは、今後5年以内にそのシェアが50%を下回る可能性があると予測する。この状況は投資家の不安を煽っており、最近では、米Appleの幹部が裁判で「Safari経由のインターネット検索がAIの影響で初めて減少している」と証言したことを受け、Alphabet社の株価は一日で1500億ドルもの時価総額を失った。
AIはGoogleの他の製品群でも重要性を増している。サンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は同カンファレンスで、ビデオ会議システム「Google Meet」(グーグル・ミート)の新バージョンを発表した。この新機能では、まず英語とスペイン語の間でリアルタイムの音声翻訳が可能になるという。
また、コンピューター大手の米HPと共同開発した「Google Beam」(グーグル・ビーム)と呼ばれる新型ディスプレイも披露した。このデバイスは、遠隔地にいる会話相手を3Dで表示し、まるで対面で会っているかのような臨場感を提供することを目指している。この発表を受け、ウォール街に上場しているビデオ会議専業の米Zoom社の株価は最大2.4%下落した。

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