自社の内部管理体制の不備を開示する上場企業が増加している。東京商工リサーチ(東京都千代田区)が調査した結果、2024年度の開示社数は58社で、2023年度(57社)を抜き最多を更新した。
2024年度に内部統制の不備を開示した58社について、不備を内容別に見た。最も多いのは自社や子会社などによる「不適切会計」の判明などの「全社的な内部統制の不備」(30社・前年度比11.1%増)で、全体の51.7%を占めた。その他、経理や会計処理ミスなどの「決算・財務報告プロセスの不備」(24社・同20.0%増)、商流ルールが形骸化したなどの「業務プロセスの不備」(4社・同63.6%減)も見られた。
市場別では「東証スタンダード」(27社・構成比46.5%)が最多となった。以下「東証プライム」(20社・同34.4%)、「東証グロース」(9社・同15.5%)と続いた。
産業別で見ると、国内外の子会社・関連会社の経理処理や販売管理の体制不備に起因するものが多い「製造業」(18社・構成比31.0%)が最多となった。以下「サービス業」(14社・同24.1%)、「卸売業」(8社・同13.7%)、「情報通信業」(6社・同10.3%)、「小売業」(5社・同8.6%)と続いた。
東京商工リサーチは「金融庁や東証はガバナンス向上に向けた指針整備を進めている。企業側もコーポレートガバナンスやコンプライアンスの意識を徹底し、内部統制不備を防ぐ風通しの良い組織の構築が急務となっている」とコメントした。
調査は、上場企業、有価証券報告書提出企業を対象に、「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備」について開示した企業を集計した。
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