米国人はデジタル決済を信用していない? 日本や新興国との意外な差Payments Dive

» 2025年08月27日 11時00分 公開
[Tatiana Walk-MorrisPayments Dive]
Payments Dive

 英市場調査会社YouGov(ユーガブ)とロンドン拠点のフィンテック企業Checkout.com(チェックアウト・ドットコム)が実施した調査によれば、毎日オンライン取引を行う消費者は米国ではわずか8%にとどまった。一方、ブラジルは35%、サウジアラビア、日本、アラブ首長国連邦(UAE)など複数の国では20%を超えている。

 さらに、中国ではほぼ全ての消費者(93%)が支払いにデジタルウォレットを利用しており、サウジアラビア、ブラジル、エジプト、UAEでは人口の8割以上が利用。これに対し、米国では3分の2(65%)程度にとどまっているという。

 一方、ピアツーピア(個人間送金)でデジタルウォレットを毎日利用する割合は、中国が25%、ブラジルが20%に達しているのに対し、米国は9%に過ぎない。今回の調査は16カ国・1万8000人の成人を対象としたが、調査方法や時期は明らかにされていない。

米国人はデジタル決済を信用していない? 写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

米国人がデジタル決済を信用しない理由は?

 Checkout.comとYouGovのレポートは、デジタル決済ツールやオンライン決済に対する信頼度が地域ごとに大きく異なることを浮き彫りにしている。欧州や北米の消費者は、他地域の消費者に比べて電子商取引に対して懐疑的な傾向が強いという。

 この調査結果は5月に初めて公表されたが、Checkout.comは8月13日のプレスリリースで改めて国ごとの差を強調した。米国における主要なデジタルウォレット提供者はAppleとGoogleであり、利用時には通常、クレジットカードやデビットカード、銀行口座と紐づけられる。

 米国の消費者がデジタル決済を信用できない最大の理由は「決済画面の安全性に不安がある」ことであり、約46%が懸念を示した。この理由は調査対象16カ国のうち11カ国でも同様であり、割合もほぼ同じ水準だった。残る5カ国では「使いやすさ」や「希望する決済手段が用意されていないこと」が不信の要因となっていた。

 米国における不信感の一因は、回答者の半数がカード決済で詐欺被害を経験していると答えたことにある(クレジットカードかデビットカードかは明示されていない)。ただし、ブラジルの被害経験率はさらに高く53%に上り、UAEも米国と同水準だった。

 利用率は大きく異なるものの、米国と中国の消費者は「ECサイトにカード情報を保存すること」への不安ではほぼ同程度であり、中国が43%、米国が42%となった。

 Checkout.comの調査結果は、カード詐欺が依然として消費者と決済事業者双方にとって深刻な問題であることを裏付けている。

 米調査会社Nilson(ニルソン)が2025年に発表したレポートでは、今後10年間でカード決済における詐欺被害額は4038億8000万ドルに達すると予測している。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融サービス部門が2024年に実施した調査によると、金融機関の73%が「デビットカードが最も詐欺に狙われやすい決済手段」と回答した。

 さらに、ピアツーピア決済も詐欺の温床となっている。全米退職者協会(AARP)が昨年発表した調査では、成人のP2P決済利用者の約5人に1人が「詐欺未遂の標的になった」または「実際に金銭的被害に遭った」と答えた。被害に遭った人のうち4割は101ドルから1000ドルの損失を被っていたという(調査対象は2014人)。

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