総務省によると、ルール上は高い還元率を喧伝して寄付を呼び掛けることは禁止されているものの、表示上は「100%還元」とあるのみで、「寄付」という言葉を使っていないため、こうした広告を規制することができないとう。
「ヤフーふるさと納税」でも同様のキャンペーンを実施している。業界関係者は、9月の駆け込み需要に向けて、「仲介サイト事業者やコンサルタントが猛烈な営業活動をかけていた」と明かす。
東京都渋谷区が8月下旬、スマートフォン向けゲームの「ゲーム内通貨」を返礼品として取り扱いを始めると、ゲーム利用者を含めて批判的な声が相次いだ。シンクタンク「ふるさと納税総合研究所」(大阪市淀川区)の西田匡志社長は「地域特性を活かそうとする意欲的な取組だが、金銭類似性が高く制度上の位置付けは不明確。制度趣旨との整合性を丁寧に整理する必要がある。」と指摘する。渋谷区は導入理由について、「他自治体でゲーム内アイテムの返礼品が掲載されているため」と回答した。
ふるさと納税を巡っては、神奈川県鎌倉市が横浜市にある「鎌倉自動車学校」の教習チケットを返礼品に加えるなど、首をかしげざるを得ない返礼品もみられ、自治体間にも過度な競争が広がっている。
桃山学院大の吉弘憲介教授はふるさと納税について、「場所の履歴がなくなっている」と警鐘を鳴らす。仲介サイトでは、牛肉やウナギなどの人気の返礼品がずらりと並ぶが、自治体名よりも品名の方が目立つ。渋谷区の事例について吉弘教授は「サービス産業が強い都市部にも返礼品の可能性が出てきた」と一定の評価をしつつ、「事実上、会社の帰属がどこに登記されているかというだけ。(同様の返礼品が広がると)場所性が薄まっていく危険性はある」と指摘した。
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