米Googleは、仏Criteo(クリテオ)との提携を通じて、急成長する小売メディア事業に本格的に参入する。プレスリリースによれば、これは検索大手にとって初めての「オンサイト小売メディア」に特化したパートナーシップである。
Criteoと「Google Search Ads 360」の統合は、まず米国大陸地域でベータテストとして開始され、最終的にはグローバル規模に拡大する予定だ。Criteoを利用する小売事業者は、Google Search Ads 360を通じて広告主からの需要を受け入れ、広告を出稿するブランドの幅を広げられる可能性がある。
さらに、GoogleとCriteoは、小売事業者が広告主に「増分効果」を示すための統合的な効果測定も提供する計画である。両社は「ごく少数の大手プレイヤーが支配する」小売メディア市場において、競争条件を平等化することを目指すと説明した。
Googleは今回、200以上の世界的な小売企業とネットワークを持つ「コネクテッド・コマース・プラットフォーム」であるCriteoと提携し、小売メディア領域への取り組みを一層強化する。この提携の中心はオンサイト広告――すなわち、小売企業が所有するWebサイトなどのメディア資産に掲載されるスポンサー商品広告や検索連動広告である。
小売メディアはオフサイト広告や店舗内広告へも広がりを見せているが、依然として基盤はオンサイト広告にある。Criteoを利用する小売事業者は、業界最大規模のプラットフォーム「Google Search Ads 360」を通じて需要を取り込みやすくなり、小売メディアに関心を持つ広告主をより幅広く呼び込める可能性がある。これまでは、広告主は消費財メーカーかメインだったが、現在は収益拡大のため非関連業種(ノンエンデミック)広告主の獲得も進められている。
世界最大のデジタル広告プラットフォームであるGoogleは、2025年第2四半期だけで検索広告から542億ドルを売り上げた。しかし、小売メディア市場では急成長にもかかわらず、これまで大きな存在感を示していなかった。Criteoとの連携はその状況を変える可能性があり、今回の統合は「第一段階」にすぎないと説明されている。
一方、デジタル広告市場で第3位のAmazonは、小売メディア分野で圧倒的な存在感を放っている。市場シェアは事実上、Amazonを独自のカテゴリーに分類できるほど大きい。Amazonは2025年第2四半期に約157億ドルの広告収益を上げ、需要サイドプラットフォーム(DSP)などの広告テクノロジーを普及させることで、Googleにとってさらに強力な競合相手となっている。
米国における小売メディア広告費は、2025年に20%増の623億5000万ドルに達すると予測されている。成長率は鈍化傾向にあるものの、2027年にはデジタル広告全体の約5分の1を占める見込みだ。GoogleとCriteoは、自社の協業を「小売事業者の競争条件を整え、ブランドに優れた技術と効果測定基盤を提供することで投資を促す仕組み」と位置付けている。
「Googleを最大規模の小売メディアパートナーの一つとして迎えることを大変うれしく思う。これにより、Criteoプラットフォーム上の小売事業者は大規模なブランド広告を活用できるようになる。より多くのブランドを当社のグローバル小売ネットワークに結び付け、既存ブランドの投資を深めることで、小売事業者のメディアプログラムの成長を支援し、広告在庫の価値を最大化すると同時に、広告主には購買意欲の高い消費者へリーチする機会を提供できる」と、Criteoの小売メディア部門プレジデントであるシェリー・スミス(Sherry Smith)氏は述べた。
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