業界トップのセブンが“なりふり構わぬ施策” 都内店舗で見かけた驚くべき光景とは(1/7 ページ)

» 2025年12月22日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント

1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。


 セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイHD)がカナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けましたが、2025年7月に撤回されました。

 これと前後して、セブン-イレブン(以下、セブン)の店頭では、これまで見かけなかったような販促キャンペーンやコラボ企画など、“なりふり構わない施策”が増えていると感じます。

なりふり構わない施策が増えているセブン(出典:ゲッティイメージズ)

 セブンは本気で変わろうとしているようですが、果たしてこれらの企画は顧客に刺さっているのか。店頭でのさまざまな施策を通じて、セブンは何を実現しようとしているのか。

 流通小売り・サービス業のコンサルティングを約30年続けてきているムガマエ代表の岩崎剛幸がマーケティングの視点から分析していきます。

魚屋のように声掛けするセブン

 先日、東京都内のセブンに立ち寄った時のことです。入店すると、レジの周辺から大きな声で「いらっしゃいませ!」という威勢の良い声がしました。それに続けて「いらっしゃいませ!」とさみだれ式にあいさつが聞こえてきます。

 セブンでこのような声掛けを聞くことがなかったため、驚いて店内を見回すと、店員全員で声掛けをしていました。

 日本人スタッフの声掛けを合図に、外国人らしきスタッフ3人が、早朝から大きな声で叫んでいたのです。朝からここまで一生懸命声出しできるセブンがあることに、私は驚きました。その声掛けは、まるで魚屋のようでした。

 なぜ、ここまで声を出していたのか。レジに行って、初めてその理由が分かりました。

 レジで外国人らしきスタッフから「併せてコロッケはいかがですか? 今、とても安くなっています」と案内されたのです。セブンでこのような接客をされたのは久しぶりです。

 ふと見上げると、レジ上にブラックフライデーの告知POPが貼られていました。セブンで初めてのブラックフライデー企画が始まっており、コロッケが54円で販売されていました。朝から揚げ物は食べられないため断りましたが、肉まんを追加で購入してしまいました。これは明らかに声掛けの効果。それがなければ、追加購入はしなかったでしょう。

ブラックフライデーのバナー(出典:セブンのプレスリリース)

 コンビニでもこのような声掛けをすることで、「にぎわっている感」が出るのが不思議です。最初は違和感を覚えましたが、何度か聞くと、にぎやかで楽しい気持ちになります。「激戦のコンビニ業界こそ、昔の魚屋や八百屋のような声掛けが必要なのかもしれない」と感じながら、店を後にしました。

 今までのコンビニでは明らかに見られなかったような声掛け。それを業界トップのセブンが行っている。「セブンも何かを変えようとしているのかもしれない」と強く感じた場面でした。

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