日本企業の後継者不在率が減少している。帝国データバンクが約27万社に調査を実施したところ、2025年の後継者不在率は50.1%と7年連続で減少。改善傾向が続いていることが分かった。
ただし、改善傾向には企業規模によって差が生まれている。後継者不在率は大企業では24.9%、中小企業では51.2%、小規模企業では57.3%となり、小規模企業ほど後継者対策が進んでいないことがうかがえる。
後継者不在率を都道府県別で見ると、「三重県」(33.9%)が5年連続で全国最低水準となった。帝国データバンクは「地域金融機関などが密着して支援を行っていることに加え、経営や商圏が比較的安定している企業も多いなどの理由から、同族内で経営を引き継ぎやすい環境が整っていることなどが背景にある」と分析する。
一方、後継者不在率が最も高いのは、「秋田県」(73.7%)という結果に。「佐賀県」(46.3%)、「高知県」(63.2%)など、13県では不在率が前年から上昇した。後継者不在率の高い地域や上昇傾向が続く地域では、総じて同族経営の企業が多く、親族以外の第三者に経営権を移譲することへの抵抗感が根強いケースも少なくない。また、後継者候補となる若年層が都市部へ流出するなど経営人材の不足が深刻化していることも影響しているようだ。
全業種で後継者不在率は60%を下回った。その中で最も高かったのは「建設業」(57.3%)、最も低いのは「製造業」(42.4%)となった。製造業では自動車産業をはじめ、サプライチェーンを構成する企業の事業承継問題が、全体に影響を及ぼしかねないとの認識が広がっている。そのため重点的な支援が行われてきたことから、後継者不在の改善につながったとみられる。
2025年に代表者交代が行われた企業における、前代表者との関係性を分析した。血縁関係によらない役員・社員を登用した「内部昇格」(36.1%)が、これまで最多だった「同族承継」(32.3%)を上回った。日本企業における事業承継は、これまで最も多かった親族間の承継から、社内外の第三者へ経営権を移譲する「脱ファミリー」の動きが加速しているようだ。
コロナ禍以前から官民一体となって推し進めてきた事業承継への支援が中小企業にも浸透し、後継者問題への取り組みは一定の成果をあげている。帝国データバンクは「働きながら事業継承を目指す副業・兼業の広がり、セカンドキャリアとしての事業承継など、従前に比べて経営人材の獲得ハードルが低下したことも要因として大きい」と分析する。
一方、地方においては、当代限りでの「店じまい」など、そもそも事業承継を望まない層は多い。事業をさらに続けるためには老朽化した設備の更新などが必要で、「負担をかけたくない」といった理由から事業承継計画を白紙にする、あるいは一時見合わせるといったケースもある。「後継者を決めて事業を続ける企業と、後継者を決めず事業を畳む企業で二分される形で、後継者不在率は急激な低下は見込めず、当面は50%前後で推移するとみられる」(帝国データバンク)
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