この記事は『22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにしてください』(武政秀明著、サンマーク出版)の内容に一部編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
あなたは朝起きてから今まで、どのくらいの「文字」を見たでしょうか? あなたが作成した、Web記事の投稿、広告やPRの制作物、商品・サービスの販促文、メールや営業の企画書なども、多くの情報の中に紛れてしまいがちです。
見てもらう、関心を持ってもらう、選んでもらうためには、中身を目にする前に、誰かの目に触れる「最初の言葉」が重要です。
例えば、飲食店のメニューの宣伝文句を考えてみましょう。どちらの方が魅力的でしょうか?
もちろん、2つめだと思います。なぜでしょうか? 元東洋経済オンライン編集長が「読まれた記事」「読まれなかった記事」を分析し、たくさんの人に興味を持ってもらうための「言葉の法則」を解説します。
「ボリュームたっぷりの定食」という宣伝文句よりも、「大盛り無料 ご飯150グラム→300グラム おかず7品の健康定食」の方が消費者の目をひく理由は「数字」です。
数字が入った言葉は目をひきやすい。これは耳にしたことがある方も多いと思います。数字は自分も相手も同じ基準で判断できるからです。
「ボリュームたっぷり」と言われても、どの程度の量なのかは分かりません。小学生と大学生では食べる量も違いますし、お相撲さんと70代の女性では食事の概念すら違うかもしれません。このように、「たっぷり」という言葉は、人によってイメージが大きく異なります。
「大盛り無料 ご飯150グラム → 300グラム おかず7品の健康定食」だと、具体的な量が見え、提供される価値が分かります。家庭のお茶碗1杯分のご飯が150グラムぐらい、ということを知っている人には、ある程度の量がイメージできます。そうでなくとも大盛りは2倍とわかる。また、7品という数字は、バランスのよさを示します。主菜に副菜、具体的な食卓の風景が目に浮かんでくるはずです。
これが、数字の持つ「比較」の力です。相手が知っている基準と比べられるからこそ、実感を持ってイメージできるのです。
しかし、なかには「響かない」数字もあります。例えば、マットレスの特徴を示すこんな一文はどうでしょうか。
「耐久性テスト93.7%クリア」。これは正確かもしれませんが、響く人は少数でしょう。数字が細かすぎるし、身近ではないからです。同じ「丈夫なマットレスである」ということを伝えるにしても、こちらの表現はどうでしょうか。
「子ども2人が丸1日飛び跳ねても壊れない強度」。この方が、具体的なイメージと安心感を与えられます。この違いは、読み手の「実感」にあります。数字は具体的ではありますが、相手になじみのない数字だと、逆にその数字が何を表しているのかが分からず、実感が湧きません。
ここまで数字の持つ力について解説しました。ここからはより人々の関心を集めやすい数字について紹介します。
お金に関する数字も比較がしやすいため、人々の生活の中で目にとまりやすいです。この数字が持つ力は、まさに「日常の物差し」としての強さです。
コーヒー1杯500円、ランチ1000円といった身近な買い物から、家賃や光熱費といった生活に直結する支出まで、私たちの暮らしのあらゆる場面で機能する物差しなのです。手作り品のバザーイベントを例に解説します。
2つめの文は、価格帯を明確にすることで、参加のハードルを下げています。「全品500円以下」という表現は、財布の中身と相談しやすい具体的な基準となります。
他にも「食べ放題」を売りにしている外食店の看板を見かけて唸(うな)ったことがあります。
「食べ放題 小学生999円(税込1099円)幼児無料」
よく目にする表記ですが、どんな仕掛けがありそうでしょうか。答えは「大人の料金は書いていない」ということです。私はこれに単なる案内書きでないメッセージを受け取りました。
小学生の料金とはいえ、税込1000円ちょいの料金は安いと感じる人が多いでしょう。小学生の子どもを持つ親世代の人にとっては、外食にかかるお金がイメージできる。幼児がいるご家庭なら「保育園の子は無料だって! 行ってみようかな」となる。
それだけではありません。小学生の料金を基準に「大人もきっとそれなりにリーズナブルな価格では?」という想像もかき立てられます。子ども連れを狙った看板のように見えて、大人だけのお客にもうまく訴求できているのです。
「食べ放題 大人2198円 小学生1099円(税込) 幼児無料」と書くより、はるかに効果的なのです。これは単なるお金の数字における比較や分かりやすさに加えて、「書いていないことまで相手に想像させている」という高等テクニックを兼ね備えていますが、お金は身近でわかりやすい数字だけに、考え方は真似できそうです。
SNSの投稿やメールの件名、企画書づくり――。
仕事や日常生活における「短い言葉で伝えなければならないシーン」の言葉選びに悩む人へ。
ちょっとしたことで「伝わり方」は大きく変わります。
月間3億PVを叩き出したWeb編集長が、短い言葉で相手の心をつかむ45のコツを紹介。
読み終わった瞬間、言葉のセンスが格段に上がります。
Webメディア編集長。1976年兵庫県神戸市生まれ。1998年関西大学総合情報学部卒。自動車セールスパーソン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年から東洋経済オンライン編集部。副編集長、編集長、編集部長を歴任。約12年間の在籍中に自身で7000本超のタイトルを考案してヒット記事を連発する一方、同期間にサイト全体で数万本に及んだ記事のアクセス傾向を徹底的に研究。読者の関心を大きく左右する記事タイトル=最初の言葉の作り方を独自に体系化する。東洋経済オンライン編集長時代の2020年5月には過去最高となる月間3億457万PV を記録。2023年5月にサンマーク出版へ転職後、SUNMARK WEB を立ち上げて編集長を務める。本書が初の著書。
© Sunmark Publishing,Inc.
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