ハルク・ホーガンだけの問題ではない、“Nワード”が飛び交う世界:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
米国のプロレス団体「WWE」がハルク・ホーガンを解雇した。解雇理由は明らかにしなかったものの、彼の差別発言が原因だと言われている。
ホーガンだけの問題で終わりそうもない
だが、今回の差別騒動はホーガンだけの問題で終わりそうもない。それというのも日本では余り報じられていないが、ホーガン解雇で沈静化を図ろうとしたWWE全体にまで、この差別発言問題が飛び火してしまっているからである。
ゴシップ系サイトの『TMZ.com』がWWEのホーガン解雇発表後に「実はWWE内部で他にも“Nワード”を発した人物がいる」と報じたのだ。それによれば、2005年11月27日にミシガン州デトロイトのジョー・ルイス・アリーナで行われたWWEのPPV(ペイ・パー・ビュー)大会「サバイバー・シリーズ」においてWWE代表取締役会長兼最高経営責任者のビンス・マクマホン氏が所属レスラーとの会話の中で黒人に対する差別用語の“Nワード”をポロリ。このシーンはPPVの中でも放送されており、動画サイトのYouTubeにもアップされていて確認することができる。
さすがに慌てたWWEサイドは、この一件に対して「このように芝居がかった架空のキャラクターを含めた異様かつ嫌悪感の強い寸劇は、テレビや映画でよく見られる設定と同じようなものである」とのアナウンスメントを発表。要は“このNワードはあくまでもWWEのプロレス特有のストーリーラインの中で出た言葉なのだから、フィクションみたいなものだし別にいいだろう”という主張である。
しかし、これにはどうしても矛盾が出てくる。フィクションが前提のストーリーラインの下で発せられるのならば、何を言っても許されるのか――。つまり、そういうことだ。もっと言うと、もしこのケースが許されるのならば、ストーリーラインを描いたシナリオライターたちを含めWWEサイドがマクマホン氏の口にした差別用語である“Nワード”のセリフを例えフィクションの世界であってもPPVという公共の場で発する行為について「OK」と認めてしまうことにもつながる。そう考えると、さすがにこの主張は苦しい弁明と言わざるを得ない。
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