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今、スーパーマーケットが大転換期を迎えたGMS凋落、地方再編(1/3 ページ)

流通大手の総合スーパー(GMS)事業の不振や、地方を中心とした業界再編など、日本のスーパーマーケット業界を取り巻く動きが目まぐるしく変化している。特集「スーパーマーケットが生き残る道」では、そうした状況下での各社の取り組みなどを見ていく。

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「第二の創業」を掲げ、食品事業に注力していくダイエー。それを体現する赤羽店にはダイエーとイオンのロゴが“共存”する
「第二の創業」を掲げ、食品事業に注力していくダイエー。それを体現する赤羽店にはダイエーとイオンのロゴが“共存”する

 埼玉県との境に位置する繁華街、東京都北区赤羽。1日に約9万人が利用するJR赤羽駅前から東方に延びるアーケード「赤羽スズラン通り商店街」の奥にあるスーパーマーケットが今注目を集めている。

 2015年6月20日、ダイエーが食品分野に特化した新業態「フードスタイルストア」の1号店をオープンした。場所はここダイエー赤羽店。この地は1980年代から同社が総合スーパー(GMS)の業態で営業してきた店舗で、かつて“GMSの雄”ともてはやされたダイエーを象徴するかのような店だった。

 まるでそうした過去から決別するかのように赤羽店を大幅にリニューアル。3階建ての本館店舗の1階は生鮮食品や総菜などの食料品を扱い、2階はカフェやジュースバーを設けるなど、文字通り“フード”を強調した作りになっている。真の成長に向けた「第二の創業」と銘打つ同社は、この赤羽店のリニューアルオープンを契機に、総合食品小売業として生まれ変わるべく大きく舵を切った。

 長らく続いているスーパーマーケット業界の低迷の大きなボトルネックがこのGMSにある。かつては、食料品や日用品に加えて、衣料品、家具など、さまざまな商品を総合的に品揃えるGMSが消費者の支持を集めた。ところが、1990年代に入ると「ユニクロ」に代表される専門店の台頭によって顧客が奪われ、特に衣料品を中心にGMSの売り上げは大打撃を受けた。その代表格がまさにダイエーである(関連記事)。その後、同社は産業再生機構の支援を受け入れ、イオンと業務・資本提携を結び、ついには2015年1月、イオンの完全子会社となった。

 ただし、決してダイエーだけがあおりを食ったわけではない。スーパーマーケット市場全体でも、16兆8635億6200万円の総売上高を記録した1997年をピークに縮小の一途をたどり、現在は約13兆200億円と大幅に下げた。好調なのは食品くらいで、そのほかのジャンルは軒並み低迷。業界の2強であるセブン&アイホールディングスとイオンにおいてもGMSを中心としたスーパーマーケット事業は苦戦状態の真っただ中だ。

全国チェーンストアの販売額推移(日本チェーンストア協会の公表データを基に作成)
全国チェーンストアの販売額推移(日本チェーンストア協会の公表データを基に作成)

 直近の業績を見ても、セブン&アイ・ホールディングスの2016年2月期 第1四半期決算で、イトーヨーカ堂を中心とするスーパーストア事業の営業収益は5166億5900万円(前年同期比1.6%増)、営業利益は60億3100万円(同19.5%減)だった。こうした中でイトーヨーカ堂は2015年5月に組織変更を実施し、本部主導のチェーンストア経営から脱却し、店舗が主体となり個店・地域特性に合わせた品揃えを目指すなど、経営改革に躍起になっている。

 同じくイオンの2016年2月期 第1四半期決算において、GMS(総合スーパー)事業は営業収益が6628億1100万円(前年同期比2.5%減)、営業損失が47億9000万円(前年同期より39億6700万円の減益)となり、依然として同事業での業績不振が続く。

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