任天堂のDNA「ブルーオーシャン戦略」の行く末:忘れられた戦略(2/5 ページ)
任天堂の戦略は「ブルーオーシャンである」と言われていますが、ブルーオーシャンはすっかり下火に。その背景を明らかにするとともに、日本企業が今後、任天堂と同じ戦略を展開した場合、実効性が上がるものなのかどうか、その可能性を探ります。
むしろ、任天堂は、どうやって新たに競争相手のいないブルーオーシャンを探し出して、新しい提案をして新しい市場を創り出すということにしっかり向き合うか、ということを中長期で目指していくことを、これからも変わらず大切にしてまいります。
任天堂の前社長・山内溥氏が他社の追随を嫌い、「ファミコン」や「任天堂DS」など独自の路線を追求したことはよく知られています。岩田社長もこの路線を踏襲し、「ブルーオーシャン市場」の開拓を狙い、中高年などこれまでゲーム機に縁遠かった層を対象として「任天堂DS」や「Wii」など発売し、大成功を収めました、
その結果、任天堂は2008年に時価総額10兆円を達成し、当時トヨタや東京三菱UFJ銀行に次いで、時価総額3位を記録したほどでした。その後スマホの台頭などにより一時業績が低迷したものの、「常にブルーオーシャン市場を開拓し、そこに新たな価値を提供していく」という任天堂の姿勢が揺らぐことはありませんでした。
その姿勢が4〜6月期における「派生サービス」のヒットにつながり、業績回復を成し遂げたといえるでしょう。そして今後も「常にブルーオーシャン市場の開拓に挑戦していく」という任天堂のDNAは、脈々と継承されていくものと思います。
ブルーオーシャン戦略とはなにか
任天堂が実践してきたブルーオーシャン戦略とは、そもそもどのような戦略なのでしょうか?
ブルーオーシャン戦略とは、新規需要を主体的に創造し、競争が存在しない状況を創り出すことを図る経営戦略論のことであり、フランスの欧州経営大学院(INSEAD)教授のW・チャン・キムとレネ・モボルニュにより、2004年10月に「ハーバードビジネスレビュー」で発表されました。
その翌年に単行本が出版され、全世界で大ベストセラーになりました。その後ブルーオーシャン戦略は、世界100か国以上の先進企業に採用され、欧米の企業はもちろんのこと、アジアの主要企業でも採用が進んでいます。
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