任天堂のDNA「ブルーオーシャン戦略」の行く末:忘れられた戦略(3/5 ページ)
任天堂の戦略は「ブルーオーシャンである」と言われていますが、ブルーオーシャンはすっかり下火に。その背景を明らかにするとともに、日本企業が今後、任天堂と同じ戦略を展開した場合、実効性が上がるものなのかどうか、その可能性を探ります。
単行本では、企業が生き残るために、既存の商品やサービスを改良することで高コストの激しい「血みどろ」の争いを繰り広げる既存の市場を「レッドオーシャン」、競争者のいない新たな市場で、まだ生まれていない無限に広がる可能性を秘めた未知の市場空間を「ブルーオーシャン」と名づけています。
各社が激しい競争を繰り広げているレッドオーシャン市場で競合に打ち勝つためには、かなりの経営資源を費やすことになりますが、この競争とは無縁の「ブルーオーシャン」という新しい価値市場を創造し、ユーザーに革新的な製品・サービスを提供することにより競争を無力化し、利潤の最大化を実現しようというのが、ブルーオーシャン戦略の基本的な考え方となっています。
ブルーオーシャン戦略の核となるものは、「バリューイノベーション(価値革新)」という考え方です。バリューイノベーションは、市場の境界線を引き直すことにより新たな価値を創造し、「差別化」と「低コスト」の両方を実現しようとする考え方のことです。ブルーオーシャン戦略では、バリューイノベーション実現のためのツールやフレームがいくつか用意されていますが、「アクション・マトリクス」「戦略キャンバス」「6つのパス」などが代表的なツールとなっています。
また日本における任天堂以外のブルーオーシャン戦略の事例としては、格安理容チェーンの「QBハウス」、個別指導塾の「明光義塾」の例などが挙げられています。
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