社員は会社の仕組みを「間借り」している(2/3 ページ)
あなたは何をもって会社から給料をもらっているか? このように聞かれて、うまく答えることができる人は少ないのでは。本コラムの著者・泉本行志さんによると……。
従業員としてどこかの会社で仕事をするということは、実は、その会社のビジネスシステムを「間借りする行為」なのです。
つまり、他人が築き上げた事業のシステムを利用させてもらって、お金を稼いでいるということです。
もう少し解説していきましょう。多くの人がそうであるように、あなたは自分の持つ能力を、自分ひとりの力で、お金に変えることは難しい。つまり、自分が提供できる能力・労力だけを、直接販売して商売することはできない。だから、既に出来上がっている会社のシステムの上で活動し、自分の能力や労力を価値に変えてもらい、対価としてのお金をもらっているということです。
今まで、こんな風に考えたことはありますか? 言い換えれば、勤めている会社あるいはバイト先のビジネスシステムの一部を間借りして、金儲けをさせてもらっていたということになります。
(もちろん、これは経済的な側面だけの話をしています)
これは、例えば、事業主がフランチャイズに加盟したり、ネット上でいえば楽天などのショッピングモールに出店し、既に構築された仕組みを借りて商売しているのと、大きく言えば、本質は変わりません。
営業マンでも、オペレーターでも、デザイナーでも、なんであれ、自分一人では、自分が提供できるものを、直接販売して商売として成り立たすことが難しい。だから、既に誰かが構築したビジネスのシステムの一端を借りて、その利用料を控除された上で、給与という名目でお金を得ているのです。もし自分の力だけで、自分が提供するものをもって商売できれば、その人は独立してやっていけるということになります。
最初に出てきたサラリーマン的愚痴をもう一度考えてみましょう。
「お客さんは俺に○○円払っているのに、うちの会社はどんだけピンハネしてるんだ!」。もし自分が独立して商売をした場合に、集客したり、ノウハウを蓄積したり、ITシステムを準備したり……など、どれだけのお金と労力と時間を費やし、どのくらいのリスクを負う必要があるでしょうか。
それを理解せず、単純に会社はボッたくってると被害者的な発想だけしているようでは、ビジネスマインドに欠陥があります。これでは、永遠にサラリーマンとして組織に依存する生き方で終わるでしょう。
あるいは「あの人事部長はほとんど仕事してないくせに、給料泥棒だろう」。私が耳にしたこの愚痴のケース限定でいえば、この人事部長の資産は圧倒的な人脈です。
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