なぜ、あの人は「稼ぐ力」があるのか? 1万分の1の存在になる方法:水曜インタビュー劇場(マネー公演)(3/7 ページ)
「稼ぐ力」というフレーズが注目されているが、どうすればいいのかなあと感じている人も多いのでは。リクルートでフェローとして活躍し、その後中学校の校長を務めた藤原和博さんに“稼ぐ方法”について聞いてきた。
21世紀は「成熟社会」
藤原: その世界で第一線で活躍している人に勝つことはハードルが高いといった話ではなく、不可能と言ってもいいでしょう。ただ、世の中のルールが変わったので、戦い方を変えることができるのではないでしょうか。
土肥: どういう意味でしょうか?
藤原: 20世紀は高度経済成長を経験した……いわゆる「成長社会」でした。そして、21世紀の今は「成熟社会」になりました。
「成長社会」と「成熟社会」がどういう意味なのか、詳しくご説明しますね。成長社会が終了したのは1997年。このとき何が起きたのか。バブル経済が崩壊し、その影響を受けて山一證券、北海道拓殖銀行が経営破たんしました。翌年には日本債券信用銀行、長期信用銀行が破たんしました。いわゆる金融危機が起きたわけですが、それまでの日本は“みんな一緒”という感覚が一般的でした。大きいことはいいこと、安いことはいいこと、といった感じで、必ず「正解」があったんですよね。
その正解をできるだけ速く、そして正確に答える人が勝ち。なので、日本の教育は戦後一環して「情報処理力」を求めていたんですよ。情報処理力とは何か。ジグソーパズルに例えて、ご説明しますね。ジグソーパズルには、ミッキーマウスとか大阪城などの絵が描かれていて、いわば完成品が与えられている。そして1枚の絵がばらされていて、いくつかのピースで再び組み立てなければいけません。
ピースは1000とか2000とかありますが、各ピースには“正解”がありますよね。日本の教育はこのジグソーパズルのように、できるだけ速く正解のピースをみつけて、ひとつの絵を完成させる作業を鍛えてきました。そしてどういうことが起きたのか。欧米に追いつくことができたんですよね。ここまで言うと想像できた人もいらっしゃるかもしれませんが、ジグソーパズルに描かれていた絵は、米国のライフスタイルだったわけですよ。
土肥: なるほど、なるほど。
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