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“ロボット大国”日本は、なぜ「手術支援ロボット」市場で勝てないのか消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(1/7 ページ)

ロボット大国とも言われる日本だが、明らかに米国企業の独占を許してしまっているのが「手術支援ロボット市場」だ。2けた成長中の有望市場にもかかわらず、なぜ日本のメーカーは存在感を示せないのか。そのカギは日本人特有の“ある性質”にあるかもしれない。

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消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方:

日々刻々と変化する市場の中で、ある企業は成長を遂げ、またある企業は衰退していく。これらの“差”を生みだす要因とは。20年以上にわたって消費トレンドと企業戦略の関係について分析してきたJMR生活総合研究所による連載をお届けします。


 「手術支援ロボット」が注目されている。医師が患部の立体映像をリアルタイムに3Dディスプレイで見ながら遠隔操作し、アームを動かして手術するロボットである。これを用いた最先端の手術法は「出血が少ない」など患者へのメリットも多く、主にガン摘出などで利用されている。

 その市場規模は約4000億円で、年率112%の2けた成長を続けている。家電業界(2010年:約9.2兆円→13年:約7.5兆円)や外食業界(97年:29兆円→13年:23.9兆円)など多くの市場がピーク時から縮小しているのと比べれば、2けた成長がいかに驚異的か分かるだろう。

 しかし、手術支援ロボットは米Intuitive Surgical(以下IS)の「ダ・ヴィンチ」という1つの製品によって事実上独占されている。これほど有望な市場に、世界有数の技術を誇るはずの“ロボット大国・日本”のメーカーがなぜ参入できないのか。

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手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」(出典:Intuitive Surgical
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