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“ロボット大国”日本は、なぜ「手術支援ロボット」市場で勝てないのか消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(2/7 ページ)

ロボット大国とも言われる日本だが、明らかに米国企業の独占を許してしまっているのが「手術支援ロボット市場」だ。2けた成長中の有望市場にもかかわらず、なぜ日本のメーカーは存在感を示せないのか。そのカギは日本人特有の“ある性質”にあるかもしれない。

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増え続けるがん患者――いまや2人に1人が罹患する時代に

 有名人のがん罹患やがん死のニュースを耳にすることが増えてきた。末期の大腸がんで亡くなった俳優の今井雅之さん、肺がんで亡くなったタレントの愛川欽也さん、胃がんの今いくよさんなど、ここ最近だけでも枚挙にいとまがない。日本だけでも、年間80万人ががんに罹患し、36万人が亡くなっている。高齢化が進む中、生涯でみると2人に1人が罹患する計算だ。

 医師にとってもがんは厄介だ。がん手術は難易度が高い。肺がんは術野が非常に微細だし、大腸がんなど広範囲にわたるがんは開腹すると合併症のリスクが上がる。内視鏡手術も機器の操作が難しく、高い熟練を要する。医師の数は限られており、一部の医師に患者が殺到する。

 増え続けるがんは、国の財政にとっても重荷だ。国の借金が1053兆円(2015年3月末時点)ある中、日本の保険医療支出はGDP比で10%を超えている。「がんは共存するもの」という意識が強い欧米と比較し、「可能性があれば徹底的に取り切るもの」と考える日本では、がんに伴う医療費負担も大きくなる。

存在感を増す「手術支援ロボット」

 これらの課題解決に向けて期待されているのが「手術支援ロボット」だ。

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