秋ビール、差別化のカギは「配色」にあり?(3/3 ページ)
秋ビールの季節になりました。秋ビールと言えば紅葉がデザインされたパッケージが多いので、今まで似たり寄ったりでしたが、今年は差別化された商品が登場。色とデザインの視点から分析したところ……。
真ん中が「サッポロ秋の本熟」です。こちらのデザイン、初めて見たとき衝撃が走りました。紅葉と言えば、赤やオレンジのイメージが強いのですが、秋に緑のパッケージを用いるのは画期的ですね。
確かに常緑樹は一年中緑ですし、紅葉の赤やオレンジと組み合わせることによって、補色関係(正反対の色の関係)のため、お互いの色味を引き立てます。プラス、真ん中にゴールドを配置することで、ビールのおいしさをほうふつさせ、高級感をもたらしてくれます。
しかもこちらの落ち着いた深緑は、しっかりとした存在感があり、くつろぎを演出してくれる色。秋のまったりした時間を感じることができます。
このようなベースカラーのビールは珍しいので、数あるビールの中ではとても目につきやすい配色です。
同じ素材でも周りの色や視点次第でまったく違うデザインになる
このように同じコンセプトの商品の場合、どうしても色が偏ってしまいますが、ちょっと視点を変えることによって、他との差別化ができるのです。
今までは紅葉と言えば、ベースカラーに紅葉の色だけを前面に押し出していましたが、背景の一部として捉えることによって、まったくデザインは変わってきます。
視線や設定を変えたり、他の色との組み合わせで、秋ビールの特徴である、まったりと楽しめる「薫り」や「コク」を味わうことができるのです。
配色の法則を知り、さまざまな角度からアクセスすると、オリジナルに溢れたデザインが誕生するのではないでしょうか。
(山田美帆)
今日のひとこと:
同じコンセプトでも配色や視点を変えることによって差別化される!
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