カーシェア事業で、なぜ「パーク24」だけが黒字化できたのか:水曜インタビュー劇場(カーシェア公演)(4/8 ページ)
カーシェアリング事業の早期黒字化は難しいといわれている中で、パーク24が事業を始めてわずか5年で黒字を達成した。その理由を探っていくと、興味深い話が……。
情報システム「トニック」のチカラ
土肥: 黒字化達成の背景には3つの武器があるから、といった話をうかがいました。しかし、それだけではないですよね。パーク24には、情報システム「トニック」というもう1つの“武器”があるのではないでしょうか? 駐車場ビジネスはトニックを使って、売り上げをアップされたそうですが、このシステムについて詳しく教えていただけますか?
内津: トニックを使って何が分かってきたのかというと「稼働状況」なんです。駐車場の稼働率が高ければ料金を少し上げて、稼働率が低ければ料金を少し下げる。先ほども申し上げましたが、利用されていない駐車場は空気を置いているようなものなのでもったいない。しかし、トニックを使えばリアルタイムで空いている駐車場が分かるので、効率よく運営できるようになりました。
例えば、駐車場が満車なのに、そこにカーシェアのクルマを置くと、会社の売り上げを食ってしまうことになりますよね。カーシェアのクルマがなければ売り上げが伸びていたのに……といった話。これはよくないことなので、データを分析して「この駐車場は稼働率が高いので、カーシェアのクルマを置かない」「この駐車場は稼働率が低いので、カーシェアのクルマを置く」といったことを決めているんですよ。
土肥: もう少し詳しく教えていただけますか。トニックのデータを使って、売り上げがどーんと伸びた話とか。
内津: なかなかどーんと伸びたという話はないのですが、駐車場に置いているクルマの車種を変えたことで売り上げが伸びたケースがあります。
土肥: 待ってました。どぞどぞ。
内津: 例えば、商業エリアに小型の赤い色のクルマを置いていたのですが、稼働率がものすごく低かったんですよ。そこでデータを分析したところ、大きいクルマが必要なエリアがあったり、小さなクルマが必要なエリアがあることが分かってきました。また、黒やシルバーといった色が必要なエリアがあったり、カラフルな色が必要なエリアがあることも分かってきました。
一般的に商業エリアではビジネスパーソンが利用されることが多いので、大きいクルマが好まれる。大きな荷物を載せることが多いからでしょう。また、色は黒とかシルバー。そりゃあそうですよね。商談の場へ行くのに、ピンクのクルマで登場したら、相手がびっくりされる。一方、住宅地で女性がよく使われるエリアでは、小さくカラフルな色を好まれるケースが多いですね。
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