2015年7月27日以前の記事
検索
コラム

ブランディングの後進国であることを示した「東京五輪エンブレム問題」(4/4 ページ)

東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は、佐野研二郎氏がデザインした五輪の公式エンブレムの使用を中止し、新たなデザインを再公募すると発表しました。しかしそれだけで、今回の「東京五輪エンブレム問題」は解決したといえるのでしょうか?

Share
Tweet
LINE
Hatena
INSIGHT NOW!
前のページへ |       

組織委員会、審査委員会にブランディングの専門家を

 以上のように、筆者は「エンブレムの再公募」については、単にエンブレムのデザインを再募集するのではなく、CIの見地から、前述の【CIの実施プロセス(例)】の中に記載されている「1〜5の作業」をしっかりと行った後に、デザインの公募を行うべきであると考えています。そのためには、組織委員会の中にCIや企業ブランディングに関する実務経験豊富な人材を投入し、ゼロからCIの作業を実践していく必要があります。

 また審査委員会についても、現在はデザイナーばかりで構成していますが、今後はデザイナー以外にブランドマネジメントの専門家や企業経営者など、ブランディングの実務に精通している人材を加える必要があるでしょう。

 今回のエンブレム問題は、「ブランディング」に関する実務領域において、日本が後進国であることを世界に示した事例であるといわれても仕方がありません。よって再発防止のためには、組織委員会、審査委員会ともにブランディングの実務経験者をメンバーに加えることが必須であり、併せて標準的なCIの実務プロセスに沿った作業を、しっかりと実践していく必要があると思います。(川崎隆夫)

 →フォローして川崎隆夫氏の新着記事を受け取る

前のページへ |       

Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.

ページトップに戻る