ドバイからパナマへ、エミレーツ航空が“世界最長路線”を開設:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/3 ページ)
中東アラブ首長国連邦(UAE)のドバイを拠点にするエミレーツ航空が2016年2月、世界最長となるドバイから中米パナマへの直行便を開設する。これまでの世界最長はどこを結ぶ路線だったか? 新しい路線で使用する機材は?
世界で一番遠くまで飛べる旅客機
777-200LRのLRは「Longer Range」の略である。777ファミリーの中でも最長の航続性能を誇るモデルとして誕生した。
大型機は従来3基または4基のエンジンが必要だったが、エンジンそのものにハイテクが導入されて進化し、2基でも必要な推力が得られるようになった。その結果、大型で航続性能にも優れた双発機が登場。中でも双発機の可能性を先頭に立って切り開いてきたのが、777シリーズの長距離モデルである。
777は日本でもJALとANAが長距離国際線の主力機材として欧米線などに投入しているが、保有しているのは両社とも標準型の-200と胴体延長型の-300、および長距離型の-200ERと-300ERの4タイプ。超長距離型の-200LRは残念ながら保有していない。
ボーイングは777シリーズの開発を1986年にスタートした。エンジンを強化して燃料タンク容量を大型化した長距離型モデルの-300ERと-200LR開発に着手したのは、14年後の2000年2月である。-200LRは2005年3月に初飛行に成功すると、同年11月には東回りでの香港〜ロンドン間(約2万1600km)を22時間42分かけて連続飛行し、旅客機の航続距離世界記録を更新した。
公表されている777-200LRの航続距離は1万7446kmで、これは東京を起点にすると、地球のほぼ裏側──南米チリのサンティアゴまで届いてしまう距離だ。ちなみに777-200LRの次に航続距離が長いのはエアバスの4発機A340-500(1万6670km)だが、A340の製造はすでに終了している。第3位はやはりエアバスの4発機で総2階建てのA380(1万5700km)である。
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