なぜUSJは沖縄でテーマパークを造るのか 裏にオトナの事情アリ:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
USJを運営する株式会社ユー・エス・ジェイが、沖縄にテーマパークを造る計画を公表した。「沖縄でもハリーポッターみたいなアトラクションが楽しめる」と思うかもしれないが、その手の施設が造られることはない。なぜなら……。
「オトナの事情感」がプンプンと漂っている
沖縄最後の遊園地は、1975年にオープンした「沖縄エキスポランド」。来場者がじわじわと減り、アトラクションもメンテナンスできず老朽化するという負のスパイラルに陥り、4億7000万円の累積赤字を解消できずに2000年に閉鎖された。その「沖縄エキスポランド」があったのが、ユー・エス・ジェイが「南国テーマパーク」を検討している海洋博公園。最盛期は150万人の来場者数だったが、閉鎖前は53万人にまで落ち込んだという。こういう過去の教訓にならえば、「水族館と合わせて600万人」というのもかなり現実的なラインだ。
そこで浮かぶのは、なぜユー・エス・ジェイはさして旨味も大きくない沖縄へわざわざ進出するのかという疑問だ。経済メディアが報じる「沖縄経済には大きなポテンシャルがある」という話を真に受けた可能性もあるが、別の理由もあるのではないか。というのも、実はこの計画は当初から政治的取引材料というか、「オトナの事情感」がプンプンと漂っているのだ。
ユー・エス・ジェイのグレン・ガンペル社長が大阪の記者団に対して、沖縄進出を表明したのは今年3月18日。翁長雄志知事をはじめ沖縄関係者が第一報を聞き、「進出が事実ならウェルカムだ」と大喜びしていた一方で、この沖縄進出を事前に把握していた人がいる。菅義偉官房長官だ。
菅義偉官房長官は18日午後の記者会見で、大型テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)が沖縄県への進出検討を表明したことについて、「私自身も直接(USJ幹部に)会い、政府としてできる限りの支援をしたいとしっかり伝えている」と述べた。(時事通信3月18日)
国営公園へ進出したいと言っているのなら、国と事前に「調整」するのは当然でしょと思うかもしれないが、気になるのはタイミングだ。ご存じのように、昨年12月に沖縄県知事になった翁長氏は「辺野古移設反対」を掲げ、就任直後から防衛相や菅官房長官との会談を訴えていたがかたくなにシカトされ続けていた。それがちょうどこの時期、政府が態度を軟化し、知事と直接交渉を行うという方向転換をみせ始めていたのだ。そんな矢先の3月12日、16日と2連チャンで米軍機が部品落下をする事故が起こり、知事は「怒り心頭」と言い出した。そんなタイミングだ。
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