なぜUSJは沖縄でテーマパークを造るのか 裏にオトナの事情アリ:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
USJを運営する株式会社ユー・エス・ジェイが、沖縄にテーマパークを造る計画を公表した。「沖縄でもハリーポッターみたいなアトラクションが楽しめる」と思うかもしれないが、その手の施設が造られることはない。なぜなら……。
何を求めているのかといえば「自然」
そんな怒りをクールダウンさせるかのように、ユー・エス・ジェイの沖縄進出が発表されたのだ。このあまりのタイミングの良さがゆえ、かたくなに辺野古移設を拒否する翁長知事の妥協を引き出すための「材料」ではないかと勘繰られてもしかたがない。
実際に基地問題ではこの手の「取引」がよく聞こえてくる。例えば、鳩山さんが「最低でも県外」と言い出したことで、県外移設を掲げ始めた仲井眞弘多知事がコロッと寝返って辺野古の埋め立て承認を出した背景には、多額の北部振興事業費をちらつかされたからと言われたが、IR(カジノを含む統合リゾート)の誘致もあったのではなんて話がまことしやかにささやかれた。
仲井眞さんは日本の自治体のなかで最もIR誘致に力を入れており、「日本国内で最初にIRができないと意味がない」と主張していたものの、横浜、大阪、お台場(東京)という強力ライバルが次々と名乗りをあげたことでかなり焦っていた。その弱みを突いた政府が、「普天間基地跡地に日本最初のIRをつくる」という「内定」をちらつかせ、埋め立て承認を引き出したのではないかというのだ。
もちろん、すべては永田町の流言に過ぎない。ただ、もしも政府が翁長さんをどうにか籠絡(ろうらく)しようとしているのなら、「自然派南国テーマパーク」を持ち出すというのは理にかなっている。
翁長さんが仲井眞さんに勝てたのは県民の総意というよりも、県内の反仲井眞勢力と糸数慶子参議院議員(沖縄社会大衆党)や共産、社民という革新勢力を結びつけたことが大きい。だから当然、糸数さんたちの主張を無下にはできない。
糸数さんたちはカジノ反対運動を展開しているので、「IR誘致」はない。翁長さんも「沖縄にはそぐわない」と明言している。じゃあ糸数さんたちが何を求めているのかといえば、「自然」である。
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