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過去の汚名を背負いながら戦うファイター・秋山成勲という男赤坂8丁目発 スポーツ246(3/3 ページ)

総合格闘家の秋山成勲が、再びリングに立つ。桜庭和志戦の“ヌルヌル事件”をきっかけに、すっかり「ヒール」になってしまったが、秋山の経歴を追いながら人物像に迫ってみると波乱万丈な半生が見え隠れする。

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非常に難しい空気の中で

 そして年が明けた数日後、主催者側から調査によって秋山が乾燥肌の持ち主でそれを防ぐために試合前にワセリンの含まれる米国製スキンクリームを塗布していたことが判明。試合はノーコンテストとなり、秋山に対しては「悪意があっての使用ではなかった」としたもののファイトマネーの全額没収と選手契約を結ぶFEG主催大会への無期限出場停止処分(同年2007年秋に解除)が下された。これは当時、社会的にも大きな波紋を呼び、当事者の秋山に対して厳しいバッシングが浴びせられた。秋山が完全な「ヒール」として定着するようになってしまったのは、ここがスタートであることは言うまでもない。

 秋山が過去に起こした反則は今振り返ってみても、確かにとんでもなく許し難い愚行だ。ただ、あれから今年の年末で9年になろうとしている。秋山はその間に自分なりのミソギを済ませ、2009年2月にはUFCとも契約し、日韓を股にかけるファイターとしてポジションを築き上げている。「韓国と日本をともに愛している」という彼の言葉にウソはないだろうと信じたい。

 悪化している日韓の関係は正直言って素人目からしても改善の兆しは、一向に見られない。ネット上でこの秋山を含め「韓国がらみ」のネタになると心ない誹謗中傷が書き込まれることも残念ながら珍しくないのが現状だ。こういう非常に難しい空気の中で、自身の苦い過去とも向き合いながら「日本、韓国の架け橋になる」と言い切る秋山の戦いは今後どのようなストーリーとなっていくのか。未だその一挙一動にブーイングを浴びせるファンを大きく驚かせる意味でも、秋山には有言実行をぜひ果たしてほしい。

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