「LGBTの問題」はたくさんあるのに、なぜ対応が進まないのか:水曜インタビュー劇場(LGBT公演)(4/6 ページ)
LGBTを取り巻く環境をみると、さまざまな問題がある。課題を解決しなければいけないのに、なぜ取り組みがなかなか進まないのか。LGBT問題に詳しいNPO法人「虹色ダイバーシティ」の村木真紀さんに話を聞いた。
欧米のLGBT対応
土肥: 海外の状況を教えていただけますでしょうか。米国では今年6月に、連邦最高裁が同性婚を認めました。それまで13の州で「同性婚はNG」だったわけですが、これで全州で「OK」になりました。
村木: 「米国=何もかも進んでいる」といったイメージがあるかもしれませんが、そうでもありません。実は、ここ数年で急速に変化してきたんですよ。世論調査をみると、2001年のときには「同性婚に反対」という人が57%もいました。その後も少しずつ変化していたのですが、2011年に人口の多いニューヨーク州が同性婚を認め、そこから反対よりも賛成の声が多くなりました。
土肥: 欧州の状況も教えていただけますか?
村木: 欧州では、法律が先行しています。同性婚や差別禁止など、LGBTに関係する法律が整備されて、それに基づいて企業が対応しています。逆に米国では、州によって状況が違い、法律の整備が遅れました。だから、全州でビジネスをする企業がこの問題に率先して取り組んで、連邦レベルの法律の制定を後押ししたんです。6月に「同性婚OK」の法律ができましたが、大企業は即座に祝福のメッセージを出しました。
土肥: 欧州は法律が先行、米国は企業が先行……日本はどちらに近いでしょうか?
村木: 日本は今は法律がないので、企業が動いています。東京渋谷区は10月か11月に、同性カップルを結婚に相当する関係として認める「同性パートナーシップ証明書」の発行を始めますが、それは企業に配偶者扱いを求めるものです。こうした動きを見ていると、日本は米国の影響を強く受けているのかもしれません。
土肥: 欧米を中心に、LGBTの問題に取り組んでいます。その流れは止めようがないと思うのですが、日本企業はどのように対応していけばいいのでしょうか。
村木: 任天堂が発売した「トモダチコレクション」というゲームが以前問題になりました。ゲームに登場する自分のアバターが同性婚できなかったので、たくさんの批判を浴びたんです。これではイカンということで、任天堂はそのあとに出したゲームでは同性婚ができるようにしたんですよね。しかも、わざわざそのことをプレスに公表しています。
土肥: Webサービスでも、性別欄に「男性」「女性」のほかに、「その他」が書いてあるケースが出てきました。でも、まだまだ多くはありません。
村木: パートナーの欄に異性しか登録できないことも多いですよね。これも問題。
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