「LGBTの問題」はたくさんあるのに、なぜ対応が進まないのか:水曜インタビュー劇場(LGBT公演)(3/6 ページ)
LGBTを取り巻く環境をみると、さまざまな問題がある。課題を解決しなければいけないのに、なぜ取り組みがなかなか進まないのか。LGBT問題に詳しいNPO法人「虹色ダイバーシティ」の村木真紀さんに話を聞いた。
会社のチカラで変えられる部分はある
村木: 同性愛の歴史、海外の状況、日本の状況をサラっと紹介しましたが、こうしたことって学校で学ぶ機会がありません。なので、多くの人は「LGBTって他人事」として受け止め、なかなか問題が解決しないんです。
例えば、米国で米国人の男性と日本人の男性が結婚したとします。この2人が日本で生活するとなると、どういった問題が起きるのか。多くの会社はこの2人が結婚していることを認めることができないんですよね。日本では法的に他人なので。また職場としても前例がなく、どう対応したらいいのか分からない。でも、ここで大切なことは、自社にもいるかもしれないという「気づき」なんですよ。「ウチの会社にもLGBTがいるはずだから、そろそろ考えないとな」となれば、一歩前進ですよね。
次にどういった問題が起きるのか。会社が「どうにかしなければいけない」となって、家族休暇や家族手当など福利厚生の適用範囲を広げても、やっぱり限界があるんですよ。例えば、健康保険や公的年金、配偶者控除など法律が関係してくる部分は、会社では対応できません。そうした部分について「ウチでは対応できない」「ウチでも対応できない」といった声が広まっていけば、国も「なんとかしなきゃいかん」となって、法制化の動きにつながっていくのではないでしょうか。
土肥: ふむふむ。
村木: でも、企業が本腰を入れたらなんとかできる部分もあると思うんですよ。例えば、育児休暇の法定の取得期間は「1年」ですが、企業によっては子育て支援のために、独自に「2年」「3年」に延長するところもあります。必要を感じれば、法律以上のことをやっているんです。なので、「LGBTにはこんな問題がある。なんとしなければいけない」となれば、独自に変えられる部分はあると思うんですよね。
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