“ザ・縦割り”だったJALが、変貌できた理由:水曜インタビュー劇場:(JAL公演)(4/7 ページ)
JALの業績が好調だ。景気が回復してきたり、訪日外国人が増えたり、原油が安くなったり、さまざまな外部要因があるが、記者は内部に注目した。破たん前の企業文化は縦割りだったのに、破たん後はかなり変化してきている。その理由は……。
JALフィロソフィを浸透させるために
野村: 残念ながら……はい。社員に「JALの企業理念はなに?」と聞いても、正しく答えられた人はかなり少なかったのではないでしょうか。
土肥: JALフィロソフィをつくられましたが、それをどのように活用されているのでしょうか?
野村: 全社員が3カ月に1回、研修を受けています。年次、職種、所属グループ企業に関係なく、5〜6人が同じグループで受講しています。社長や役員も社員と同じグループに入るので、研修当日になって、隣の席に社長がいる! ということもありますね。具体的にどんなことをしているかというと、40項目あるJALフィロソフィの中からテーマを設定して、グループディスカッションをしています。
土肥: ちょっとイジワルなことを言いますが、教育をしてもすぐに結果を出すことは難しいと思うんですよ。上司から「お前、研修を受けてこい」と言われて、教室に足を運ぶと「JALフィロソフィはこうだ」と言われる。戸惑う人が多いのではないでしょうか。
野村: 初めて受けた人の多くは「なにこれ? ひょっとしたら思想教育なのでは?」と警戒していたのではないでしょうか。「来るなら来い。オレは騙されんぞ」といった雰囲気があったのですが、そうなっても仕方ないと思うんですよ。
研修が始まる前にイスに座っているのですが、間が持てない人が多かったですね。教室の中は知らない人ばかりなので、机の上に置かれているJALフィロソフィをペラペラとめくっていたり。教室の中には、独特の雰囲気が漂っていました。
土肥: そんな雰囲気の中で、手帳に書かれていることを読んでも頭の中には入ってこないでしょうね(笑)。
野村: ですです(笑)。ただ、1年が経ち、2年が経ち、3年が経ち……受講している人たちの間から変化がうかがえてきたんですよね。JALフィロソフィには、そんなに悪いことは書かれていないので、警戒心が溶けてきたのではないでしょうか。そうすると、議論が活発になってきまして。
土肥: 職場恋愛が増えそうですね(笑)。
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