“ザ・縦割り”だったJALが、変貌できた理由:水曜インタビュー劇場:(JAL公演)(6/7 ページ)
JALの業績が好調だ。景気が回復してきたり、訪日外国人が増えたり、原油が安くなったり、さまざまな外部要因があるが、記者は内部に注目した。破たん前の企業文化は縦割りだったのに、破たん後はかなり変化してきている。その理由は……。
反マニュアル通りのサービス
土肥: 以前のマニュアルには「機内の飲料をおろしてはいけない。ましてや空港内にいる乗客に配ってはいけない」と書いてあったのでしょうか?
野村: いえ、書いていません。ただ、書いていないことをやることは、ものすごく抵抗感があったんですよ。なんとかしたいと思って、機内にある飲み物をおろして、空港内で配れば、後で会社から何を言われるか分からない。
土肥: でも、目の前に困っている人たちがいるわけですよね。
野村: 「私には次の仕事があるから。手伝って仕事に遅れが生じたら、そっちのほうが問題」などと考えていたのではないでしょうか。広報の○○さん、そうですよね。
――広報の○○さんは、以前客室乗務員として活躍されていた。
○○さん: あっ、いや、えと、その……そうだと思います。なんとかしたいという思いはあるのですが、過去にそうしたことをやった経験がないので、また見たこともないので、頭の中で「それはやってはいけないこと」と勝手に解釈していました。
土肥: 今回の対応について、会社はどのように見ているのでしょうか?
野村: 破たん前は、決められたことはしっかりと守る。マニュアル通りにやることはいいことだ。会社はこのように指導していましたので、社員にもそのような意識がありました。
とはいっても、マニュアルが悪いというわけではありません。基本の部分はそのまま。でも、こうしたほうがお客さまにとってはよりよいサービスになる、と判断したことについては、会社はそれを認めますよという形になりました。マニュアル通りの画一的なサービスがお客さまにとっていいことではない、という風に変わりつつあります。
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