博報堂が公開する”生活定点”、データと日経平均との関連性から分かることとは?:生活定点のデータは1992年から(5/5 ページ)
日々の経済状況は、私たちの生活を如実に反映したものです。しかし、自分の意思や心理が経済状況とどのような関係性にあるかを、感覚として把握するのは難しいです。本稿では、その関連性を数字で明らかにします。
日経平均に対する重要度が高い項目10種
ここまでは相関係数に関する分析結果を見てきました。最後に、日経平均株価を構成する変数として生活定点のデータ1486項目を置いたときに、どの項目が重要だったのか、日経平均に対する説明力が高かったのかを見ていきたいと思います。
ここでいう重要度という指標は、その項目が持つ情報量が全体としてどれだけに当たるのかを相対的に示すものです。この情報量が大きければ大きいほど、日経平均株価に対して持っている影響力は大きいと言えます。正負にかかわらず相関性の高い項目が、上位に来る指標と言い換えられます。
相関係数の分析において見いだされた項目としては、情報生活に関するライフボリュームタイプが水たまり型(狭くて浅い)であること、いろいろな商品情報に詳しいことが挙げられます。それを除いて、直感的に分かりやすいものとしては、ポジティブなものとして
- 日本人は、個人生活の充実にもっと目を向けるべきだと思う
- 一流品とは、値段が高いもののことをいう
一方、ネガティブなものとしては、
- 株など財テク(投資)にかけるお金を節約すべき
が、上位10項目内に入りました。どちらも、消費意識の拡大 or 縮小という観点で整理できる項目だと思われます。これ以外は、直感的に理解しにくい項目が並ぶのですが、中でも「好きな料理はすき焼きである」は非常に興味深い項目です。例えば、すき焼きが各家庭でどのような受け入られ方をしているのかについては推測することしかできませんが、どちらかといえば高級料理に属するのではないかと個人的には思います。
少し前のデータではありますが、日本能率協会総合研究所(JMAR)が2010年に発表した調査データによると、“プチぜいたく”メニューの定番は「すき焼き」とされているようです。
以上、相関係数及び変数の重要度という観点で日経平均と生活定点各項目に関する分析を行ってまいりました。
直感的にその理由を説明するのが難しい項目もそれなりにありましたが、それぞれの分析で「やはりこの項目と景気との連動性は高いのか」と確認することができた項目もあったかと思います。
理由を説明しにくい項目についても、たまたま数値が高く出ただけと考えることもできますが、本当に関連性があって出てきた項目とも考えられます。
日常の何気ない生活態度や嗜好が景気とどのように連動しているのか、そんなことをときどきでも考えてみると、意外なつながりが見つかるかもしれません。(深澤祐援)
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