“乱セ”の裏で勃発した巨人の監督問題――その裏側にあるモノとは:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/3 ページ)
“乱セ”に終止符が打たれようとしている一方で、巨人が大きく揺れている。某スポーツ紙が「原監督V逸なら解任も」と報じたが、その裏には関係者のさまざまな思惑が交錯しているようだ。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
ようやく“乱セ”に終止符が打たれようとしている。2015年シーズンのプロ野球は東京ヤクルトスワローズが14年ぶりのセ・リーグ優勝までマジック「1」に歩を進めた。しかし優勝秒読みの燕軍団だけでなく、最後の最後までしぶとく崖っぷちに立たされながら奇跡のVを願っているディフェンディング・チャンピオンチームの存在も忘れてはいけない。4連覇が風前の灯となっている巨人だ。その前王者が今、指揮官の去就問題によって大きく揺れ動いている。
発端は9月26日発行の某スポーツ紙が1面で報じた「原監督V逸なら解任も」の記事。今季限りで契約切れとなる現職の原辰徳監督に球団側から来季続投要請がないことからリーグ優勝を果たせなかった場合はそのまま退任に追い込まれ、後任候補として現野球評論家で球団OB・江川卓氏らの名前も上がっていると見られる――。そういう主旨の内容であった。
パッと見れば、これまでのプロ野球でよくありがちなストーブリーグの記事に思えるかもしれない。だが、この記事が掲載された同紙の発行日はリーグ首位を走るヤクルトとの直接対決が本拠地・東京ドームで行われた当日であった。「大事な試合当日のタイミングで……」と眉をひそめた球団関係者は1人や2人ではない。しかも原監督と巨人の契約は今季まであることから正しくは「解任」ではなく任期満了による「退任」のはずである。こうしたやや乱暴にも思える内容に終始した同紙の記事に対し、桃井球団会長ら球団幹部も「営業妨害」と激怒したという。
ピンと来た人も多いだろう。実を言えば、同紙の記事は「原監督寄り」のトーンで書かれているフシが見え隠れしているのである。このスポ―ツ紙が原監督と以前から昵懇(じっこん)の関係にあることは大半の球界及びメディア関係者の知る話だ。来季続投に意欲満々の原監督がいまだ続投要請を受けていないことに焦りを覚え、関係の深いスポーツ紙を使って球団へ「自分はヤル気満々なのに去就はまだ決まらないのか?」と“けん制球”を投げたようだ――。舞台裏のてん末について、このように分析した夕刊紙もあった。
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