“TSUTAYA図書館”にNO! 「新図書館整備計画」の反対運動が増えている理由:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
“TSUTAYA図書館”が住民に「ノー」を突きつけられた。愛知県小牧市がカルチュア・コンビニエンス・クラブに運営を委託する図書館をめぐって住民投票が行われ、「反対」が「賛成」を上回ったのである。ただ、結果は接戦。最終的に勝負を決したものはなんだったのか。
「公立図書館」をめぐる争いがたびたび勃発
そもそも、この計画は既存の商業施設内に建設するはずだったが、昨年になって突然42億円かけた施設でCCCに運営させますという話が沸いて出た。商業施設内に建設した場合は蔵書も70万冊となっているが、CCC運営だと50万冊に減っている。カフェなどおしゃれな施設を造る費用に持っていかれるということかもしれないが、そのあたりの説明も不明瞭で、とにかく「怪しい」というのが反対派のみなさんが共通して感じていることのようだ。
ただ、これは昨今の「図書館戦争」ではわりとよくある話であり、なにも小牧だけに限って話ではない。
図書館戦争? 今度映画もやるアレかと思うかもしれないが、そうではない。実は1990年代に入ってから、全国の自治体と住民の間で「公立図書館」をめぐる争いがたびたび勃発し、年を重ねるごとに激しさを増してきているのだ。
ご存じのように、それまでは住民の反対といえば、ゴミ焼却場とか火葬場、産業廃棄物処理場などいわゆる「嫌忌施設(けんきしせつ)」「迷惑施設」などが定番で、図書館の整備や建造が槍玉に上がるのは「まれ」だった。報道されるほど注目を集めた反対運動しかカウントしていないが、1990年代や2000年代は10年間でおおよそ9〜10件程度。ならすと1年に1回ほどのペースだったのだが、2010年代に入るとこの5年ですでに11件。つまり、これまでの2倍のスピードで続発しているのだ。
この背景には、自治体の財源が厳しくなってきたことで住民側のコスト意識が強まり、「図書館なんかにわれわれの血税を使うのか」という声が増えたこともあるが、現職市長を攻撃するための「イシュー」になったという政治的要因もある。かつてのような、ホニャララ文化センターとか、市民ホールみたいな分かりやすい「ハコモノ」的な大型公共事業への風当たりが強くなったことで、その手の計画が激減し、代わりにクリーンなイメージの公立図書館の整備計画が増えていった。反対運動の標的になるケースが増えるのは自明の理だろう。
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