“TSUTAYA図書館”にNO! 「新図書館整備計画」の反対運動が増えている理由:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
“TSUTAYA図書館”が住民に「ノー」を突きつけられた。愛知県小牧市がカルチュア・コンビニエンス・クラブに運営を委託する図書館をめぐって住民投票が行われ、「反対」が「賛成」を上回ったのである。ただ、結果は接戦。最終的に勝負を決したものはなんだったのか。
「TSUTAYA図書館」が集中砲火を浴びているワケ
そういう大局を読み誤り、「図書館ならドカンと派手なものを建てても文句を言われないだろ」なんて軽い気持ちで計画を押し進めたことで、政治生命を失った首長も少なくない。
例えば近年も、岐阜県中津川市、茨城県古河市では、多額の費用がかかる新図書館整備計画(古河は図書館を含む文化センター)が発端となってリコール運動が起き、市長選では反対を掲げた新人が勝つという結果になっている。長崎県五島市でも新図書館建設計画が「豪華すぎる」と批判を浴びて、市民の4分の1にあたる約1万人の署名をわずか1カ月足らずで集めて、議会でも否決。白紙撤回されている。
こういう図書館反対運動のトレンドが強いなかで、丁寧な説明もしないで新図書館計画を押し進めようとした小牧市長の「度胸」に驚く一方で、それよりも関心があるのは、先ほども申し上げた「接戦」という点である。
「TSUTAYA図書館」と検索をすればすぐに分かるとおり、ネットではCCCの図書館運営にかなり批判的な情報があふれている。小牧でも海老名でも実態としては、全国で432の公共図書館の受託運営を行う専門企業「図書館流通センター」(TRC)との共同事業体で、実績からすればTRCのほうが「主」であるにもかかわらず、とにかく「TSUTAYA」が集中砲火を浴びている。この背景には、『週刊朝日』が火をつけた「選書問題」がある。
同誌によると、「TSUTAYA図書館」として注目を集める佐賀県武雄市図書館の蔵書のなかに、『公認会計士第2次試験2001』『ラーメンマップ埼玉2』など、こんなもん誰が読むのという本が大量に紛れ込んでおり、それらがどうもグループ企業の新古書店から購入したものだというのだ。
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