2015年7月27日以前の記事
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お客さんとの“距離”はどう? カウンターの幅は絶妙で微妙ご一緒に“おでん”いかがですか 2(1/3 ページ)

コンビニのカウンターで、言ったことがうまく伝わらずにイライラした経験がある人も多いのでは。実は、コンビニはお客さんと店員のコミュニケーションが取りづらい環境となっているのだ。

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ご一緒に“おでん”いかがですか(2):

 多くの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。決して大きなスペースではないが、そこで何が起きているのだろうか。陳列台にはたくさんの商品が並んでいるが、何が売れているのか、またなぜ売れているのか。コンビニの現在と過去を紐解きながら、ちょっとした“謎”に迫っていく。

 筆者は大手コンビニの本部社員、元コンビニオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?


 コンビニのレジで、こんなやりとりでイライラしたことはないだろうか。

店員: 〇〇円になります。

お客さん: えっ、いくら?


店員: 〇〇しますか?

お客さん: えっ、なんだって?


お客さん: タバコの〇〇ちょうだい

店員: はい? どのタバコでしょうか?


 相手の言ったことがよく聞こえない――こんなささいなことが、不必要なトラブルに発展する場合もある。これには、カウンター越しというお客さんと店員との微妙な距離が関係している。

 今回は、カウンター越しのお客さんとのコミュニケーションについてご紹介する。

カウンター越しという微妙な距離

 まず、自分と他人との距離について考えてみよう。米国の文化人類学者のエドワード・ホールが提唱する「パーソナルスペース」というものがある。詳細については以下に引用したので参照いただきたい。

密接距離

 ごく近しい人に許される空間。

  • 近接相(0〜15センチ) 抱きしめられる距離。
  • 遠方相(15〜45センチ) 頭や腰、脚が簡単に触れ合うことはないが、手で相手に触れるくらいの距離。

個体距離

 相手の表情が読み取れる空間。

  • 近接相(45〜75センチ) 相手を捕まえられる距離。
  • 遠方相(75〜120センチ) 両方が手を伸ばせば指先が触れあうことができる距離。

社会距離

 相手に手は届きづらいが、容易に会話ができる空間。

  • 近接相(1.2〜2メートル) 知らない人同士が会話をしたり、商談をする場合に用いられる距離。
  • 遠方相(2〜3.5メートル) 公式な商談で用いられる距離。

公共距離

 複数の相手が見渡せる空間。

  • 近接相(3.5〜7メートル) 2者の関係が個人的なものではなく、講演者と聴衆と言うような場合の距離。
  • 遠方相(7メートル以上) 一般人が社会的な要職にある人物と面会するような場合におかれる距離。

(引用元:Wikipedia 「パーソナルスペース」

 話をコンビニに戻そう。コンビニのカウンターの幅はおよそ80〜100センチ。上記の分類でいうと、個体距離の遠方相(両方が手を伸ばせば指先が触れあうことができる距離)。これを踏まえてか、それとも偶然なのかは定かではないが、コンビニのカウンターの幅は理想的な長さとなっている。

 コンビニは通りがかりに入ることも多い。筆者が思うに、全く面識のない他人との距離を一定に保てるカウンターは、無意識にコンビニを利用しやすくしているのではないだろうか。ところが、赤の他人にとっては心地良い距離感であっても、いざコミュニケーションをとる場面においては、冒頭で紹介したやりとりのように距離がマイナスになることもある。

 次のページでは、お客さんとのコミュニケーションがうまくとれなかった場合、どのようにカバーしているのかを考えてみたい。

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