お客さんとの“距離”はどう? カウンターの幅は絶妙で微妙:ご一緒に“おでん”いかがですか 2(3/3 ページ)
コンビニのカウンターで、言ったことがうまく伝わらずにイライラした経験がある人も多いのでは。実は、コンビニはお客さんと店員のコミュニケーションが取りづらい環境となっているのだ。
ベテランと新人の違い
また、お客さんからよく尋ねられる商品というのは、大体決まっている。店舗にもよるが、コンビニの陳列棚は、およそ6段から8段。当然、下のほうは目に付きにくく探しにくい。距離があっても聞きづらくても、よく聞かれるモノには脳内補完が働き、聞き取れるのだ。正確に言うと「聞き取れたように感じる」のかもしれないが、人間の脳はスゴいなあと改めて感じる。
しかし、この脳内補完は、記憶や経験量に大きく左右される。ベテランのアルバイトは経験が豊富なので困ることは少ないが、新人はできないことが多い。
筆者の経験則で言うと、残念なことに、多くのアルバイトは1年以内で辞めていく。通常のオペレーション業務なら1年もたてば十分だが、お客さんとのコミュニケーションにおいては「ベテラン」と呼ぶには早過ぎる。脳内補完が働くようになるには、それ以上の経験が必要なのだ。
アルバイトの募集で「未経験者歓迎」の文字が躍るコンビニだが、心地良い接客に至るまでには、実は多くの経験が必要となる、いわば“職人芸”なのだ。
冒頭のように、お客さんから「タバコの○○ちょうだい」と言われ、「はい? どのタバコでしょうか?」と言っているような人はまだまだ。銘柄は聞こえているのに、どこにあるのか分からずにアタフタしている人はまだまだまだ。銘柄の番号(タバコを陳列している棚には、各銘柄の番号が記されている)を教えてもらったのにオロオロしている人は、まだまだまだまだである。
著者プロフィール・川乃もりや:
コンビニ本部で社員をして10年余り、いわゆるスーパーバイザーなるものを経験し、何を思ったか、独立オーナーに転身した。自分の仕事についての足跡を残すため、仕事の合間にオルタナティブ・ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」を執筆中。
現在はオーナーを辞め、コンビニライター&アドバイザーをやっている。
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