累計12億冊! 知られざる「ジャポニカ学習帳」のスゴさ:水曜インタビュー劇場(学習帳公演)(4/7 ページ)
小学生のころに「ジャポニカ学習帳」を使ったことがある人も多いのでは。45年前に誕生して、累計販売数はなんと12億冊以上。半世紀に近くにわたって、なぜジャポニカ学習帳は支持され続けているのか。
学習帳をつくるのは大変
土肥: 学習帳づくりにおいて、大変なことは何でしょうか?
小原: 大きくわけて、3つあるかなあと思っています。1つめは、編集作業。通常のノートにはないと思うのですが、学習帳の場合は編集作業が発生します。例えば、読み物で「サッカーのはじまり」を紹介して、発売後にルールの変更があればどうするか。回収して、内容を差し替えなければいけません。ジャポニカ学習帳は教科書に近いところがあるので、情報にはとても気をつかっています。
2つめは、写真の解説。表紙に掲載している写真は山口さんにお任せしているのですが、中には名前が分からないモノがあるんですよ。世界中の学者に聞いてみるのですが、名前が付けられていない花ってまだまだたくさんあるんですよね。何科くらいまでは分かるのですが、それ以上が分からない。そうした場合には、「この花はユリ科です。名前は付けられていません」といった紹介をしています。
3つめは、表現。小学3年生には通用するかもしれませんが、2年生には通用しないかもしれない。じゃあ、2年生に通用する表現って何だろう? となるわけですよ。どういう言い回しがいいのか、といった作業が発生するので、どうしても製作に時間がかかってしまうんですよね。この部分については、小学館さんの編集編集者と調整してつくっています。
土肥: えっ、いまなんと?
小原: 小学館さんの編集編集者と調整して……。
土肥: ジャポニカ学習帳って百科事典とのコラボでできたわけですよね。
小原: はい。現在は学習帳の中に4つのテーマを掲載していますが、その内容は小学館さんと一緒になってつくっています。
土肥: なんと! 学習帳が誕生してから今年で45年が経ちましたが、当時からテーマの編集は小学館、写真は写真家の山口さん、製造はショウワノート……この3者がずーーーっと一緒になってつくりあげているんですね。
小原: はい。変わらぬ関係ですね。
土肥: ちなみに、製作費用はどのくらいかかっていますか?
小原: 2003年に発売した「赤道編」では、取材費、編集費、製造費を含めて6000万円ほどかかりました。
土肥: 6000万円! われわれの媒体は……ピー(自主規制)。
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