東京モーターショーで見ても無駄なクルマは?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)
今週末から「東京モーターショー」が開催。参加者の皆さんにぜひ見てもらいたいもの、見ても無駄なものをお伝えしたい。
今週末から「東京モーターショー」が開催される。今年元気が良いのはトヨタだ。「新型プリウス」、「レクサスLSの次期モデル」と思われるコンセプト、ライトウェイトFRスポーツの「S-FR」、コンパクトクロスオーバーの「C-HR」など、必ずしも全てが世界に先駆けて公開するモデルではないものの、市販を前提としたモデルが4台も出品される。これは素晴らしいことだ。東京モーターショーを見に行こうという人は、こういうリアリティの高いモデルをしっかり見てきて欲しい。
作る気のないモデルは無駄である
一方同じトヨタでも、全長3800mmと、MIRAI(関連記事)よりかなり小さい燃料電池車「FCV PLUS」や、昔のSF映画に出てきたような奇妙な形の「KIKAI」などが出品予定となっているが、これらは常識的に見て絵空事だ。コストや法律から見て全く実現のめどがないお祭り用の空想である。
とりあえずMIRAIが大赤字覚悟で市販されている今、単純に小型化した燃料電池車を出品する意味が分からないし、KIKAIに至っては何がしたいか分からない。こういうものならば、むしろTNGAの各構成ユニットで作ってもらいたい。できればそれぞれの組み合わせでどんなバリエーションが作れるのかも含めて。近未来のトヨタの成功はTNGAにかかっているからだ。
トヨタに限った話ではないが、東京モーターショーは世界的に見てもこの絵空事モデルが子どもじみているのがツライ。「大気圏を脱出して月まで行ける自動車」というウソ展示と何も変わらない。お祭りにしてももう少し実あるフィクションにして欲しいと心底思うのだ。
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