メルシャンの担当者が、何度も何度も「ブドウ畑」に足を運ぶ理由:水曜インタビュー劇場(ワイン公演)(5/7 ページ)
ワイン市場が伸びているのをご存じだろうか。その謎を調べていくうちに、ワインメーカー「メルシャン」の担当者が、ブドウ畑に何度も何度も足を運んでいることが分かった。その理由を聞いてみると……。
3重苦、4重苦が解消された
土肥: 「ブドウが熟してきたなあ、明日収穫しなければいけない」ってどのように判断されるのでしょうか?
生駒: まず、機械を使って分析します。例えば、柑橘系の香りを機械で分析すると、「3MH」という物質がどのくらい含まれているのかが分かるんですよ。「このように仕込みをしたら、3MHはこのくらいある」「あのように仕込みをしたら、3MHはこのくらいある」といったことが分かるようになりました。このほかにも、20〜30項目ほどの物質を分析して、ブドウの適熟期を見極めています。
ちなみに、この機械を導入したのは2004年でして、以前「甲州のワインは、3重苦、4重苦」って言われていたんですよ。
土肥: どういう意味でしょうか?
生駒: 香りがない、酸がない、渋い、薄い――といった具合に。
土肥: 全くいいところがないじゃないですか。
生駒: ですね。そのように言われてきましたが、機械を導入したことで、3重苦、4重苦が解消されました。もちろん、機械だけに頼っているわけではありません。最終的な判断は人間の舌。実際に食べてみて、味を感じて、フレーバーを確かめて、それで「いける!」と判断したら収穫するといった流れですね。
土肥: 機械で分析して、人間の舌を使って「いける!」と思って収穫しても、「あれ、これイマイチだなあ」ということもあるのですか?
生駒: 残念ながら……あります。ただ、そこで「どんまい、どんまい。また来年」で終わってはいけません。収穫したときのブドウの感覚とできたワインの結びつきを覚えておかなければいけません。「収穫のタイミングが早かったから、味が薄くなったのか」「収穫のタイミングが遅かったから、味が渋くなったのか」とトライアンドエラーを繰り返しながら、最適なタイミングを見つけ出さなければいけません。
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