メルシャンの担当者が、何度も何度も「ブドウ畑」に足を運ぶ理由:水曜インタビュー劇場(ワイン公演)(6/7 ページ)
ワイン市場が伸びているのをご存じだろうか。その謎を調べていくうちに、ワインメーカー「メルシャン」の担当者が、ブドウ畑に何度も何度も足を運んでいることが分かった。その理由を聞いてみると……。
農家同士の競争が生まれてきた
土肥: 農家さんからすれば、自分の畑でつくったブドウがどういったワインになるのか、興味があると思うんですよね。そういう意味では、仕込み作業を畑ごとにするのはいいことでは?
生駒: そうなんですよ。以前のように、まとめてどーんと仕込んでいたら、自分の畑でつくったぶどうがどのようなワインになったのか分かりません。なので、畑ごとに仕込みをして、農家さんにもテイスティングをしていただく。「自分がつくったブドウからこんな味のワインになったのか。来年はもっとおいしいワインをつくるようにがんばるぞ」と思っていただければ、うれしいですね。
土肥: 畑ごとに仕込むことで、農家同士の競争意識が生まれてきませんか?
生駒: 生まれてきていますね。先ほども申し上げましたが、テイスティングをしているので、「隣の○○さんの畑からできたワインはおいしいな。どのようにしてブドウを栽培しているんだろう?」と分析することができます。
土肥: いいブドウをつくられる農家さんに、何か共通点のようなものってありますか。
生駒: よく研究されていますし、勉強熱心ですね。
土肥: 生駒さんの話をここまで聞いていて、農家さんと一緒に“成長”することが大切といった印象を受けました。
生駒: いいワインをつくるためには、やっぱりブドウが大事なんです。「ワインの味の8割はブドウで決まる」とも言われていますから。こうしたことを理解してもらって、ご協力していただく。そのためにはどうしたらいいのか? 農家さんとの「コミュニケーション」が大切になってくるんです。
土肥: メルシャンは東京に会社があって、担当者はサラリーマンという立場。一方の農家は地方で畑を管理していて、収入は収穫の出来次第。表現が合っているかどうか分かりませんが、“住む世界が違う”両者がコミュニケーションをとるのは大変なのでは?
生駒: おっしゃる通り大変ですが、コミュニケーションは絶対に欠かせません。農家さんの気持ちを少しでも理解できるように、ある担当者はブドウ栽培をしているんですよね。自分の畑で新たな挑戦をして、うまくいったら、みなさんに「この方法はどうでしょう?」と提案しています。また、ある担当者はまるで家族のように農家さんと接しています。
関連記事
- カーシェア事業で、なぜ「パーク24」だけが黒字化できたのか
カーシェアリング事業の早期黒字化は難しいといわれている中で、パーク24が事業を始めてわずか5年で黒字を達成した。その理由を探っていくと、興味深い話が……。 - 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。 - なぜ小さな会社が、“かつてないトースター”をつくることができたのか
バルミューダがこれまでになかったトースターを開発した。最大の特徴は、表面はさっくり焼けて香ばしく、内部は水分をしっかりと閉じ込めてふわふわ。そんな食感を楽しむことができるトースターを、なぜ従業員50人の会社がつくれたのか。 - 受注を減らしたのに、なぜ「チョコモナカジャンボ」は3倍も売れたのか
森永製菓のアイスクリーム「チョコモナカジャンボ」が売れている。売上高は14年連続で伸びているが、その背景にはどんな“仕掛け”があったのだろうか。同社のマーケティング担当者に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.