増え続けるコンビニに“限界”はあるのか?:コンビニ探偵! 調査報告書(4/4 ページ)
囲碁の陣地取りのようにすき間があれば出店し、現在も増え続けるコンビニ。店舗数合戦を繰り返したところで、経営状態が悪くなれば増え続けることは不可能なのだが……。今回は、コンビニ店舗数の限界について考えてみる。
コンビニ店舗数の限界
先のグラフのとおり、ここ3年は既存店ベースで売上・客数ともに減少している。現状ですら、個店の経営はギリギリのラインを綱渡りしている状態。これ以上悪化すれば、確実に店舗の体力を奪っていく。当然のことだが、コンビニの店舗が増え続けるのは難しくなる。
それでも、集客効率を上げられれば状況が変わるかもしれない。光が見えるとするなら、昨今話題となっているコンビニ再編の動きだ。
コンビニ再編により資本が変われば、ビルド&スクラップが加速する可能性が高くなるだろう。もちろん、店によってはスクラップされるだけ……という場合もあるが、再編することで無駄にひしめき合っている店舗が整理されれば、個店の効率が上昇する可能性はある。
しかし、効率を上げ、売上客数が伸びれば、本部から見れば「店舗数拡大が可能である」という判断をされかねない。本部の考える1店舗当たりの売上利益とオーナーのそれとは乖離(かいり)があるようだ。
これはあくまでも筆者の考えだが、オーナーは「月100万円くらい稼ぎたいなあ。個人事業主だから、ボーナスはないし保証もないし」と思っていても、本部側は「はあ? 50万円あればいいんじゃね。最悪、30万円あれば生きているだろ、ハハハ」と心の中で笑っているはずだ。
本部の利益を増やすために店舗を増やしても、オーナーはジリ貧。これでは「真の成長」とは言えない。建物はボコボコ増えていくので成長しているように見えるかもしれないが、現状は“砂上の楼閣”なのだ。
コンビニが十分な利益を得るには一定の来店客数が必要だ。しかし、どんなに効率化を進めたところで、母数である人口の減少が進む以上、コンビニの店舗数増加には限界がある。空き家が増え続け社会問題となっているが、このままでは寂れたコンビニ物件から幽霊が出てきそうだ。
調査ナンバー42303報告完了。
著者プロフィール・川乃もりや:
元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿」
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