増え続けるコンビニに“限界”はあるのか?:コンビニ探偵! 調査報告書(3/4 ページ)
囲碁の陣地取りのようにすき間があれば出店し、現在も増え続けるコンビニ。店舗数合戦を繰り返したところで、経営状態が悪くなれば増え続けることは不可能なのだが……。今回は、コンビニ店舗数の限界について考えてみる。
1日の来店客数、オーナーにとって望ましいのは?
コンビニオーナーにとって、来店客数はものすごく気になる数字だ。契約内容にもよるが、例えば、1日の来店客数が1000人なら1日の売り上げが60万円くらいと想定できる。余裕しゃくしゃくとまではいかないが、ある程度の人件費を使うことが可能で、通常の経営を行うことができる。
しかし、700人を切ると1日の売り上げが50万円を切り、利益を出すためには人件費を多少削らなければならない。防犯体制に悪いと分かっていても、夜勤を1人体制にしなければならないといった状態になる。
500人なら売り上げは30万円ほど。こうなると、夜勤はオーナーだけ、昼間も1人体制にしなければいけないだろう。少しでもシフトが破たんすれば、24時間勤務もありうる状況だ。オーナーの目の下にはクマができ、あいさつはおざなりになり、まるで生きる屍(しかばね)のように見えるだろう。
客数減少は、売り上げを下げることと同じことだ。人件費が使えなくなるだけではなく、販売を拡大するための投資もできなくなる。例えば、お客さんが弁当ケースを目の前に“好きなモノを選びたい”という気持ちにさせるためには、ある程度の量というものが必要になる。ところが、売り上げの悪い状態では、その投資もできなくなる。結果、悪循環になりさらに売上低下の恐れがあるのだ。
元コンビニオーナーの筆者はこれらの客数を経験してきたが、コンビニというのは本来、1日の来店客数は1000人くらい確保する必要のある業態だと考えている。
現状、1人当たりの買い物金額は600円弱。利益効率に変化がなければ、1日に必要な客数というのは大体決まっている。何か対策を行い、客単価が大きく増加すれば話は別だが、コンビニがスーパーに取って代わらない限り大きな変化はないだろう。
店舗の効率化による客数増加が先か、人口減少による客数減が先か……。果たして、コンビニにとって望ましい、1日の来店客数が1000人という時代は来るのだろうか。
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