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対中国だけではない? お金が欲しくて“魂”を売ったイギリス新連載・世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

10月末、中国の習近平・国家主席が英国を訪問して大歓迎を受けた。英国は中国の人権問題を不問にして、カネになびいたと非難されたが、中国以外にも英国が骨抜きにされている国がある。それは……。

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かなり皮肉な展開

 サウジアラビア政府は、英政府の動きを遺憾であるとし、こうした干渉が両国関係を悪化させると強く抗議した。そして英国の最近の動きを意識してかどうかは分からないが、サウジアラビアとのビジネスによって英国内では5万人以上の雇用を生んでいると主張。そして刑務所プロジェクトの破棄で、こうしたビジネスにも影響ができると脅したのだ。

 多額の投資を受けるために中国の人権蹂躙行為に目をつぶり、テロ組織を支援するカタールからも次々と多額の投資を受ける英国。そんな英国が、サウジアラビアで人権が軽視されているとして、サウジアラビア政府とのビジネス契約を破棄して抗議を行う――。かなり皮肉な展開ではなかろうか。

 現在でも、観光や個人投資などでかなりのカネを英国に落としているサウジアラビアだが、まだ英政府を黙らせるほどではないということだろう。今後の進展に注目したい。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』『』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。


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